アメリカミネソタ州のミネアポリスで、白人警官が黒人男性の首を圧迫して死亡させた通称“I can’t breathe”事件。この問題をめぐり全米に抗議活動が広がっている中、トランプ大統領のあるツイートが話題となっている。
「アメリカ合衆国はANTIFAを国内テロ組織として指定する」
「ANTIFA(アンティファ)」とはドイツ語の「アンチ・ファシスト」の略で、反ファシズムを掲げる極左グループのこと。CNNによると、このグループの正確な起源は不明だが、イギリスで1980年代に誕生した反ファシスト運動の過激派グループにルーツがあるとされている。現在では政治思想が左に傾いているが、民主党のプラットフォームに準拠していない“幅広い人々”のグループを定義するためにこの言葉が使われる、ということだ。
テレビ朝日元アメリカ総局長の名村晃一氏は、ANTIFAの特徴について「リーダーの不在」をあげる。
「最近の運動の特徴として、誰がリーダーなのか、中心的なカリスマがあまりいない。誰が中心になって動いているのかがわからない、いわゆる自然発生的なのがこのところの大きな特徴」
多くのANTIFAのメンバーは抑圧された人々を支持し、企業やエリートによる富の蓄積に抗議するが、暴力的な行動も辞さないことで知られている。
5月31日、トランプ大統領はANTIFAを国内テロ組織として指定すると発表した。ただ、アメリカで広がっている暴力的な抗議活動については、ANTIFAの他にもKKKといった白人至上主義団体などの関与も指摘されている。トランプ大統領は、極左のグループに絞って責任を追及しているともいえる。また、CNNなどは、ANTIFAは国内のイデオロギーグループであり、テロ組織に指定しグループへの参加を「犯罪」とすることは違憲ではないかと指摘している。
こうした中、トランプ大統領は日本時間の2日午前8時前、緊急会見を開き、過激な抗議活動には「必要に応じて軍も動員する考え」を示した。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた外出制限が緩和され、経済活動の再開に乗り出したばかりのアメリカは、いま新たな危機に直面している。
「国民に軍隊を向ける決断をするというのは、本来あってはならないことではある。でもそれを大統領が決断したとなると、いったい誰が支持するのか。大統領に対して支持の強い人たちは支持するかもしれないが、一般のアメリカ国民にどう判断されるのかというのは、これは微妙だと思う」(名村氏)
(ABEMA/『けやきヒルズ』より)
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