コロナ禍の新局面で飛び出すカタカナ用語 小池都知事が有利な「ワード・ポリティクス」
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 東京都における新型コロナウイルスの感染者は6月3日、新たに12人が確認され、そのうち7人は夜の街に関連する感染だったことがわかった。内閣府によると、3日の都内の人出は、「東京アラート」発動前の前日と比べると、ほとんどの場所で約10%減っている。しかし、感染拡大前と比べると、ゴールデンウィークごろは約70%減だったのに対し、3日は約50%減に留まっている。

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 ステップ2の休業要請緩和は継続されたが、悪化し続ければステップゼロに戻る可能性もある。感染拡大への警戒は、新宿・歌舞伎町でも広がっていた。接待を伴う飲食店について、都は休業要請を解除していないが、それでも営業を再開する店が相次ぎ、感染拡大につながっている。

 そして、小池都知事の口から発せられた「東京アラート」という聞き慣れない言葉。東京都立大学法学部准教授の佐藤信氏は「みなさん最初に東京アラートが出た時、なんだろうと混乱しただろうと思う」と切り出すと、「都のロードマップは基本的に問題が起こらなければ、だんだんと解除をしていって日常に戻っていくためのもの」と説明。東京アラートの意味はロードマップ通りに進まず「立ち止まるというもの。このままだと先に進めないので、注意しましょうということ」という。東京アラートは「立ち止まる」だけだが、さらに状況が悪化すると「後ずさり」、つまり休業の再要請になってしまうと解説した。

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 国民が聞き慣れないのは、この「東京アラート」だけではない。「クラスター」「オーバーシュート」「ロックダウン」などの言葉が、コロナ禍で次々と飛び出した。理解しにくい言葉、という意見もある中で、佐藤氏は「みんなの注目を集めるために使っている。直感的にはよくわからないが、それで興味を持って結果的に感染や対策に注目が集まるので、それなりの効用がある」と、あえて使うこともあるという。

 「クラスター」「オーバーシュート」については、「専門家委員会後の記者会見がきっかけ。あえて使って、国民の注目を集めようとした」という。「その言葉を必ず使わなくてはいけないわけではない。記者会見で情報を出す時に、あえてカタカナ用語、日常に使われていない用語を使うことで、新しい状況であることを伝えようとしている」と、事態が新たな局面を迎えていることを伝えるためにも、聞き慣れない言葉を使う効果があったという。また「ロックダウン」についても、「小池都知事が会見で言ったことで、急激に注目が集まった」と指摘した。

 このように政治が言葉によって動かされることに注目することを「ワード・ポリティクス」という。人の行動を変えることが重要な今回の感染拡大抑制においては「このように言葉を巧みに使いこなすことができる指導者が注目を集めるし、優れているということになりそう。東京が(コロナの感染拡大抑制において)比較的うまくいっているとすれば、今回の東京アラートを含めて、小池都知事が新しい言葉を打ち出して注目を集めていることは見逃せない。わかりやすい言葉でわかりやすく伝えるのは大事だが、あえて耳慣れない言葉で注目を集める手法が当たっている」と、そのテクニックに注目していた。

ABEMA/『けやきヒルズ』より)

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カタカナ連発 小池知事の政治力
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