アメリカの白人警官に取り押さえられたことをきっかけに亡くなった黒人男性、ジョージ・フロイドさんの追悼式が6月4日、ミネアポリスで行われた。遺族らおよそ500人が集まると、棺の前で泣き崩れる参列者も見られた。会場周辺にも多くの人々が集まると、同日は全米各地でも追悼式が行われた。
ニューヨークで行われた追悼式にはフロイドさんの弟も出席し、改めて非暴力を訴えた。フロイドさんの死がきっかけとなった人種差別への抗議活動は、大きなうねりとなり、少なくとも全米584の都市に広がっている。
バージニア州では、高まる人種差別への抗議を受け、南北戦争の英雄・リー将軍の騎馬像の撤去を州知事が指示した。像は黒人差別や奴隷制度容認の象徴と見なされ、落書き被害が相次いでいたからだ。
抗議デモが全米で激化する中、トランプ大統領は取り締まりに軍の動員も辞さない構えを示しているが、政権内からは反対する声もあがっている。エスパー米国防長官は、連邦軍の動員について「選択肢は最終手段であり、最も緊急かつ切迫した状況下のみに限定されるべきだ。我々は今はそうした状況ではない」と反発した。
全米はもちろん世界にも広がる人種差別への抗議。牧師のアーサー・ホーランド氏は、「トランプがアメリカファーストとして大統領になって世界との連帯を断ち切って孤立化している。400年前からずっと根強くある問題で、溜まっているものが爆発した」と述べた。
1950年代から60年代にかけて起きた公民権運動では、後にノーベル平和賞を受賞したキング牧師がリーダーシップを発揮した。アーサー氏は「公民権問題の時のうねりに近いことが起きつつある。キング牧師のような人がリーダーシップを取って、まとめて平和的なアプローチで対処するのが大切」と、改めて非暴力を訴えた。
差別の問題は、他国のものだけではない。父がアメリカ人、母が日本人のアーサー氏は、日本で生まれ育つ中で「差別されたこともある」とし、「日本人の全てじゃないですが、アジア諸国の偏見を持っていたり、差別を持っていたりすることは、長い歴史であると思う」と指摘。その上で「人間は人間によって傷つけられるが、癒やされもする」と、差別の問題と向き合いながら、より平和な世界になることを祈っていた。
(ABEMA/『けやきヒルズ』より)
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