いよいよストーリーも佳境に入ってきたアニメ「イエスタデイをうたって」。漫画家・冬目景による独特なタッチのイラストと、男女の心を繊細に描くストーリーも、アニメ化によってさらにファンを増やしている。自身も原作の大ファンである藤原佳幸監督が、第10話の放送を記念した独占手記を寄せた。
▶映像:もどかしさこそ魅力の群像劇「イエスタデイをうたって」#10
<藤原佳幸監督:独占手記>
10話はクリスマス、正月回です。その特殊な状況下で変化する人間関係は、その時にしか通用しないのか、きっかけとして成立していくか、、、このエピソードの中での大事なポイントはどこにあるのか?を考えながら構成しました。
渡したクリスマスプレゼントは、相手を想って用意したものではないので罪悪感を生じる陸生と、プレゼント自体には普通に喜んでいるけど、初めて女の子に渡したというポイントの方に心を揺れ動かされた品子。それに気づいていない陸生。微妙な意識のズレが生じています。
晴は一途に陸生の事を想い続けているけれども、相手にどう思われるかを意識してしまうばっかりに踏み出せなくなっている。
このずれと感情の温度差を描ければ、アパートの前で陸生に久しぶりに会うことが出来た晴「やっと会えた」に説得力が出て、陸生がモテモテの状況にも関わらず幸せそうに見えないもどかしさを大事に表現したいと思いました。
今回の作品は、劇伴を少なめにしています。誰のどの感情で見て欲しいのかを特定したくない為です。見ている人の状況により、誰に感情移入するかが変わって見えるような群像劇にして、ズレのもどかしさに説得力を持たせたいと思いました。
次週、晴はどうなってしまうのか、陸生と品子の関係は!?乞うご期待!!
◆作品情報「イエスタデイをうたって」とは
1998年よりビジネスジャンプ~グランドジャンプ(集英社)で連載、2015年に完結した漫画家・冬目景による漫画作品。コミックスはシリーズ累計140万部を突破。現在も多くのファンに愛されている。
◆ストーリー
大学卒業後、定職には就かずにコンビニでアルバイトをしている”リクオ”。特に目標もないまま、将来に対する焦燥感を抱えながら生きるリクオの前に、ある日、カラスを連れたミステリアスな少女―“ハル”が現れる。彼女の破天荒な振る舞いに戸惑う中、リクオはかつて憧れていた同級生“品子”が東京に戻ってきたことを知る。
※品子のしなは木へんに品が正式表記
(C)冬目景/集英社・イエスタデイをうたって製作委員会