6月6日、7日と2日連続で配信されたDDTのビッグマッチでは、系列の東京女子プロレスの提供試合もマッチメイクされた。
タッグ王者の辰巳リカと天満のどか&愛野ユキ姉妹がトリオを結成。対するは現シングル王者の坂崎ユカ、前王者の中島翔子、そして初代王者であるエース・山下実優。団体のトップ3人、海外の6人タッグトーナメントにも参戦した最強トリオだ。
東京女子は5月31日に無観客PPV大会を実施。これが約2カ月ぶりの大会だった。選手のほとんどはその間、リングから離れており、攻めるにしても受身を取るにしても試合勘が戻りきっていない選手もいるように見えた。
6.7DDTの提供試合でも、出だしは100%とは言えない状態。そんな中でキャリアが最も短いユキが健闘、王者経験者トリオは、粘るユキに怒涛の攻撃を見せる。中島のフランケンシュタイナーから中島&坂崎がダブルで619。さらに山下が上段のバックスピンキックをヒットさせ、坂崎がマジカル魔法少女スプラッシュでトドメを刺した。
(DDTのビッグマッチに東京女子のトップ3が登場)
それぞれの得意技を連続で繰り出す光景は圧巻。とりわけ山下のバックスピンは強烈で、ユキの頭蓋骨を砕くかのごとき迫力と精度だった。無観客試合だけに、ヒットした際の打突音も大きく響いた。これまでもたびたびフィニッシュ技になってきたこの蹴りは、今回の試合をきっかけに「SKULL KICK」と命名されている。実況の村田晴郎氏いわく「完全にオーバーキル」。
緊急事態宣言中、試合から遠ざかっていたものの、できることは確実にやってきたと山下は言う。ジムでのウェイトトレーニングや道場での技の練習などはできなかったが、その分ラントレを重視してきた。また自分の試合を見ることで、新たに得るものもあったそうだ。どこを直し、どこを伸ばすか。その思考の成果の一つが、このSKULL KICKなのだろう。山下は5.31の大会でも同じ技で勝利している。
東京女子プロレスは6月13日の板橋グリーンホール大会から観客有りの興行を再開する。DDTでの提供試合では、勝利後の坂崎のキツそうだが充実した表情も印象的だった。プロレスラーの真の輝きはファンの前でこそ放たれるもの。坂崎の顔は、次の展開に向けての最高の予告編にもなっていた。
文/橋本宗洋
写真/DDTプロレスリング