緊急事態宣言が解除され、段階的に休業要請が緩和される中、再開の道筋が見えていない業界が数多くある。大規模なライブも依然として開催は不透明なままだ。
この困難な状況のなか中立ち上がったのが、日本を代表する人気バンド「サザンオールスターズ」。デビュー42回目の記念日となる6月25日に、無観客での配信ライブを決定した。デビュー42年目にして初の試みとなる、オンライン配信でのライブ。ファンや音楽活動を支えるスタッフ、さらに医療をはじめとするエッセンシャルワーカーらに向けて“感謝”を届けるとしている。
ライブは25日の午後8時から、ABEMA、GYAO!、新体感ライブCONNECT、PIA LIVE STREAM、U-NEXT、LINE LIVE、ZAIKO、ファンクラブの8つの配信メディアで同時配信され、3600円（配信メディアごとに異なる手数料がかかる可能性）で視聴することができる。
会場は、「音楽の聖地」と言われる横浜アリーナ。桑田佳祐はこのライブについて、新型コロナウイルスの感染者やその家族らへのお見舞い、亡くなった方への哀悼の意を示し、医療関係者らエッセンシャルワーカーへの感謝を表明した上で、ファンやスタッフに向けて次のようにコメントしている。
「他の多くの業界と同様、音楽そしてエンタメ業界も大変な困難にぶつかっています。完全に終息するまで、今後まだ長い戦いになることも予想されていますが、エンターテインメントの未来に少しでも希望の光を灯せるよう、またファンの皆様やスタッフと一緒に心の底から笑顔になれる日が来ることを願い、精一杯楽しいライブをお届けしたいと思います」
このビッグイベントにネット上では、「何て嬉しいことをしてくれるんだ！」「3600円でサザンのライブが観られるなんてお得！」「サザンの思いと、ライブにかかわる全ての人たちに感動！」という声と、一方では「3600円てそこそこいいお値段よな」「すまん。。。無観客ライブで3600円は払いたくない」といった声があがっている。
ライブでの収益金の一部は、所属事務所のアミューズ基金を通じて、新型コロナウイルス感染症の治療や研究開発にあたる医療機関の方々のために充てるとしている。
エンタメ業界でも出てきた“withコロナ”の取り組み。サザンオールスターズを継続的に取材しているというBuzzFeed Japan記者の神庭亮介氏は、「無料でなく有料で開催することに非常に意味があると思う。コロナの影響でミュージシャンがやむを得ず無観客でライブをしたり、ネットで無料配信したりするケースはこれまでにもあったが、基本的に赤字覚悟の取り組みだった。そういう選択はとても立派だと思う一方、アーティスト側の善意に頼っているばかりでは音楽業界は先細っていく。ちゃんとビジネスとして成立することを体を張って示すことに意義があり、持続可能な形で業界を盛り上げていくことにもつながる。この取り組みが上手くいけば、その後に続くバンドやアーティストにとっても“希望の轍”になっていくのではないか」と話す。
また、神庭氏は「サザンオールスターズは20周年、30周年など節目の時に必ず大きなライブを開いてきた。ビッグアーティストになってドームやアリーナクラスの会場で集客するようになってからも、あえて小さいライブハウスでライブをするなど、ライブという場を大切にしてきた」と説明した上で、「桑田さんとしても、今の音楽業界が置かれている状況、ライブ業界の苦境に心を痛めているだろうし、なんとか元気づけたい、勇気づけたいという気持ちもあって、オンラインライブという選択をされたのではないか」と推察した。
一方で、今回のライブではひとつ気になる点があるといい、「桑田さんの決め台詞として、必ずライブで『スタンド、アリーナ！カモン！』と呼びかける。今回も言ってほしいなと思うが、『お茶の間～！』とかに変わったりするのか気になるところ」と話した。
（ABEMA／『けやきヒルズ』より）
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