2次補正予算の予備費10兆円に野党からは“白紙委任”の批判も…元経産官僚「自然災害の可能性を考えれば妥当ではないか」
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 「額は青天井。国会に事前相談することも約束しない。これでは財政民主主義の破綻ではないか」(国民民主党・後藤祐一衆議院議員)。新型コロナウイルス対策を盛り込み、歳出額は31兆9114億円と補正予算としては過去最大規模になった第2次補正予算案。そのおよそ3分の1にあたる10兆円が予備費に充てられたことが、“白紙委任”との批判を浴びている。

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 予備費とは、国会審議を経ず、政府の判断で使える予算だ。政府は8日までに雇用維持、生活支援、医療体制の強化などに5兆円を使うと説明、安倍総理大臣は9日、冒頭の後藤衆院議員の問いに対し「予備費はそもそも予見しがたい予算の不足に充てるために措置をしている。今後どのタイミングで使用することになるのかということも、ここでは予見できない」と答弁しているが、東日本大震災(約2兆円)。リーマン・ショック緊急経済対応予備費(約1兆円)に比べても巨額であること、残りの5兆円について明言が無いことから、使途についての詳細な説明を求めている。

2次補正予算の予備費10兆円に野党からは“白紙委任”の批判も…元経産官僚「自然災害の可能性を考えれば妥当ではないか」

 一方、9日の『ABEMA Prime』に出演した元経産官僚で政策アナリストの石川和男氏は「1次補正の時には給付金について所得制限をする・しないの問題があったし、早くしろと言われてきた。その教訓、答えだと考えれば、“思い切ってよく積んだな”、というのが率直な感想だ。叩かれることも分かってやったと思う」と話す。

 「与党にしてみれば、“確保した”ということになる。逆に言えば、おそらく政府与党の中では、これでも足りないと思っているのではないか。予算案が通って2次補正が成立して、2次補正を20兆執行する。しかしコロナによる痛みということを考えると、3次補正という言葉が出てくると思う。そのために、先にエントリーしたということだと思う。今年も台風や水害があるかもしれない、そのときに少しでも早く止血・輸血措置をしなければならないと考えると、相当巨額ではあるが、政府の決意の表れだろう。それなら安倍総理は説明せよと思われるかもしれないが、総理答弁というのは難しい。各大臣が“うん”と言ったことを言うので、言葉の調整がすごく大変だ」。

2次補正予算の予備費10兆円に野党からは“白紙委任”の批判も…元経産官僚「自然災害の可能性を考えれば妥当ではないか」

 他方、東日本大震災の復興予算では調査捕鯨の補助金に約23億円、海外との青年交流に72億円、企業の国内立地を推進するための補助金に2950億円が使われたことについて、適切だったのかという指摘もある。

 石川氏は「私も変だなと思っていた。ただ、霞が関の官庁というのは、ある意味国民全体の縮図だ。省庁には局があり、その下に課があり、それぞれの予算が決まっている。課長からすれば、みんなが復興予算だ、経済対策だといって予算をもらっているし、“隣の課長のところに来ているのに、俺のところにはないのか”という話になってしまう。おそらくコロナ対策についても、全員均等にやって欲しいという思いが必ず芽生えてくると思う。これから夏、秋になると、感染症対策という名目だけではなく、災害時に避難所が3密になったので拡充するとか、自宅で待機するときの停電対策とか、使い途が広がっていくと思う。その意味では予備費という概念は便利といえば便利だが、果たして本当に必要な使い方なのか、国会議員の皆さんには、血税を納める我々の代表としてそういう審議にもう少し時間を割いて欲しい。そうやっていけば、問題も軽減されると思う」とした。

2次補正予算の予備費10兆円に野党からは“白紙委任”の批判も…元経産官僚「自然災害の可能性を考えれば妥当ではないか」

 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「東日本大震災、リーマン・ショックの時は、実体経済にうまく金を流し込むための対策だった。しかし今回は実体経済そのものが傷ついているので、ここは大盤振る舞いして全国一律にする、というのが当然の政策だったと思う。10兆円という額を聞くとびっくりするかもしれないが、国民全員に配る特別定額給付金10万円の予算は経費を含めると13兆円だ。仮にコロナの第2波、第3波がやってきて再び緊急事態宣言になり、また特別給付金を配ることになったとき、この10兆円が役に立つ可能性もある。減額するかどうかではなく、いかに迅速に国民にお金を配る仕組みを作っておくかという議論をした方が健全だと思う」と指摘する。

 「今回、1人10万円を配るというスキームが存在しなかったたことで、口座をマイナンバーに紐付けしましょうという議論が出てきた。さらに言うと、全国民に一律支給するスキームが今回作られつつあるということは、今の社会保障の制度に代えてべーシック・インカムをという議論もある中、かなり評価すべきだと思う」。

2次補正予算の予備費10兆円に野党からは“白紙委任”の批判も…元経産官僚「自然災害の可能性を考えれば妥当ではないか」

 これに対し、石川氏は「そういうときに、役人に細かなルールを決めさせたら大変だ。雇用調整助成金もそうだ。始めてみたら2カ月くらいかかるし、雇用調整をしている間に従業員は辞めてしまう。給付金の郵送もようやく来たという話だし、私も先週になってマスクが届いた。政治家や国会は、そこを政府に命令して欲しい。雇用調整助成金の申請書は1枚で済むようにしろ、給付金の申請もスマホの画面1ページに名前とマイナンバーと口座の写真を添えるだけでいいのではないか。そういったことを庶民感覚でやって欲しいと思う」と付け加えた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

▶映像:“予備費10兆円”野党の追及続く 政府の説明は?

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