新型コロナ関連のSNS投稿、約4割がデマ 「ISAQ」で“悪循環”するインフォデミック対策を
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 国連開発計画(UNDP)は6月10日、イタリアのブルーノ・ケスラー財団が行った調査で、SNS上に投稿された新型コロナウイルスに関する約1億1200万件の投稿のうち、約4割が「信頼できない情報源からの発信」だと発表した。またTwitterに投稿された新型コロナに関する約1億7800万件のツイートのうち42%がbot(ボット)、つまり機械の自動発言システムによるものであることも分かった。

▶【動画】新型コロナ関連の投稿、約4割がデマの真実

 WHOは新型コロナ感染拡大初期から、デマに注意するよう呼び掛けているが、それでもSNSのデマは投稿され続けている。UNDPがYouTubeにアップした動画には、人が誤った情報に対してどう反応するかについての実験の様子を公開。マサチューセッツ工科大学がTwitterを使って行った実験では、真実よりも誤った情報がリツイートされている可能性が70%高いことも分かった。

 東京工業大学准教授の西田亮介氏は、ネット上で増え続けるデマに対して「循環関係にもあると思っている」と指摘。「不安があるので情報を集めてしまう。不安で動揺もしているので、目につきやすい偽情報に惹かれてしまう。それでさらに不安にかられる悪循環」と述べた。こうしたデマや風評被害は、国内でも東日本大震災や熊本地震でも起こっている。

 この悪循環を加速しているのは、SNSならではの特徴もある。「SNSが多すぎるのは、1つは情報量。とにかく見ている量が多い。もう1つは頻度。ネットがなかった時代は、新聞でも朝刊と夕刊、テレビでもニュース番組、情報番組で時間が限られていたが、SNSが普及したことで、情報に接する頻度も増した」と、量と頻度がともに増したことで、不安を増長するデマへの接触も増えているという。

 また、正しい情報と間違った情報が混在していることも、混乱を招く原因だ。「全部が間違っているわけではない。今回も40%が間違っているが、60%は正しいということがある」ことも、問題を複雑化させている。

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 WHOが「インフォメーション」と感染症の急速な伝染を指す「エピデミック」を合わせた「インフォデミック」の対策として掲げたのがISAQ(アイザック)だ。Identify(明確化)、Simplify(簡素化)、Amplify(拡散)、Quantify(定量化)の頭文字を取った言葉で、これを実行することが正しい情報をデマに負けずに広めることができる、というものだ。西田氏は「明確化して伝えないといけないし、単純にしないと人々が混乱する。正しい情報はデマに負けるので拡散しないといけないので、インフルエンサーなどを特定してコミュニケーションする必要もある。定量化は、正しい情報を数字にして表現する。デマはだいたい抽象的で、数字にするとありえないことがわかる」と解説した。

 また、国内メディアについても「それぞれ(ISAQが)できていたか。ほとんどの媒体でできていなかったのではないかと思うので、見直していく必要がある」と注意喚起していた。

ABEMA/『けやきヒルズ』より)

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SNSのコロナ情報 4割がデマ
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