黒人男性が白人警官に暴行され死亡した事件を受け、全米で人種差別への抗議デモが続いている。その余波なのか、日系店舗への脅迫も起きているという。
15日には、カリフォルニア州トーランス市内にある日系商店の店舗入口に、「日本に帰れ 言うことを聞かないと爆破する」と書かれた脅迫文が貼られる事件が発生した。トーランス市は、ロサンゼルス南部にあり日系企業も多く集まる都市だが、公園で運動していたアジア系女性が白人女性に差別的な暴言を浴びせられる事件が起きたばかりだ。
人種差別への抗議活動が広がる中でのアジア人差別。牧師のアーサー・ホーランド氏は「アメリカの人種差別は根深い問題だと思う。最近いろいろなものを読んだり調べたりしている中で、差別というものはみな人間の中に小悪魔のようにあるものだと。肌の色や国が違っても同じ地球の中で一緒に暮らしているわけで、そういう意味での“brotherhood(同胞)”“neighborhood(近隣)”というか、同じ人間としての尊厳を持って生きていくことが理想だが、現実はそうではないことが浮き彫りになっている。トランプはアメリカ・ファーストを掲げているが、そういうマインドセットの中でこの問題と向き合っていかなければならないことを、今アメリカは体験しているのではないか」と話す。
アーサー氏自身も10年のアメリカ生活の中で、飲食店で食事をしていたところ突然白人に足を蹴られ睨まれる体験があったという。そうした中、差別問題に対しては教育が必要だと指摘。「黒人の人たちは500年来、この問題を引きずってきた。アフリカから奴隷にされてアメリカに連れてこられて、今のアメリカの豊かさは彼らが一生懸命働いた結果でもあるのに、平等な扱いを受けずに動物のように扱われたり傷つけられたりしてきたものが溜まりに溜まっている。同じ人間として思いやりをもって接するのは当たり前のことだが、根底に傲慢があってそれができない。もちろんアメリカだけでなく、日本の中にもそういう風にアジア諸国を見る人たちはいるが、差別を意識して変えていく教育が大切だし、変えられると思う。他人事としてこの問題を見るのではなく、自分はどうなんだろうと考えていくことが必要」と説いた。
一方で、人種にとらわれない意識の広まりがうかがえる出来事もある。去年9月にSNSで話題になった、ニューヨークで黒人親子と白人親子2組が別々に散歩していたところ、子どもたちが走り出し抱き合う動画。ミネアポリスに住む人気DJが先月31日にこの動画をTwitterに投稿したところ1900万回以上再生され、2人の友情を称賛するコメントが寄せられた。トランプ大統領もこの動画をシェアしている。
これを受けて、アーサー氏はキング牧師が6歳の時に友達の親から受けた体験で初めて差別を意識したというエピソードを紹介。「無垢な子どもたちは差別を意識しないで遊ぶが、結局大人にそういう価値観がある。憎むより愛した方がいいし、手を繋がないより繋いで助け合うべきだが、生い立ちや育ち方、教育によってそうではない部分が人間の中にある」とした。
(ABEMA/『けやきヒルズ』より)
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