6月28日から開幕する「将棋日本シリーズ JTプロ公式戦」に3年連続で出場する菅井竜也八段(28)。2018年度の初出場した後、今期からは順位戦A級入りを果たし、将棋界の「トップ12」が集まる棋戦において、さらにふさわしい存在になって帰ってきた。「今年も出場できて嬉しく思います。注目される舞台なので良い将棋を指したいです」という初戦は、あの藤井聡太七段(17)。強い心の持ち主が、奮い立たないわけがない。
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「JTプロ公式戦」と同時に行われる「こども大会」。これがプロの棋士、菅井八段を生むポイントになっていた。「初めて参加した大会がJT杯でした。それがきっかけで棋士を目指しました」と少年時代の思いを掘り起こした。2002年に岡山大会準優勝、翌2003年にも出場し優勝すると、2004年には中国大会で優勝した。こども大会の優勝経験者から、プロ棋士が生まれたのは菅井八段が初めてのこと。多くの将棋ファンの前で戦う楽しさ、喜びはこの頃から培われていたのだろう。
2010年4月に四段昇段、プロ入りを果たし、今年で丸10年を迎えた。タイトルも経験し、今期からは名人に最も近い場所、順位戦A級で戦うことにもなった。同年代には豊島将之竜王・名人(30)、永瀬拓矢二冠(27)と、複数のタイトルを保持する棋士もいるだけに、その2人も参加するJT杯を勝ち抜くことは、将棋界における「菅井八段」の存在を強く印象づける絶好の機会でもある。
前年覇者、タイトルホルダー、賞金ランキング上位者ばかりが集まるこの棋戦。「なかなか出場するのが大変ですが、運良く出場でき嬉しく思っています。初戦から強敵ですが、熱戦にできるよう頑張ります」と、7月18日の1回戦に向けて、気持ちも作り始めている。公式戦では最短の持ち時間であるJT杯は、早見え早指しが得意である菅井八段の得意とするフィールド。初優勝へ、最初のハードルをどう越えるか注目だ。
(写真提供:日本将棋連盟)