開設されたばかりの公式YouTubeチャンネルで配信され、100万人以上の同時視聴数を集めた元NEWS・手越祐也の緊急会見。
・【映像】話題の会見の裏で“偽手越祐也チャンネル”が大量発生!
しかしその裏では、「見たいんだけど、どれが本物のライブ配信かわからない」「偽物チャンネル多すぎ!紛らわしいわ!」といった声も上がっていた。というのも、YouTube上には公式の動画とそっくりなサムネイルが並んでおり、そのうちの一つを開いてみると、黒い背景に「これが本物です」と書かれた短い尺の動画がアップされているだけだった。
また、チャンネルについても、「手越祐也Official YouTubeChannel」「手越祐也チャンネル」「手越祐也Official」「手越祐也Official ch」「手越祐也ちゃんねるOfficial」「チャンネル手越祐也公式」など本物の「手越祐也チャンネル」と見紛うものばかりで、中には偽物にも関わらず登録者が1万人を超えるものもあった。
■なりすまし動画で視聴数・登録者数を稼ぐ方法を指南する情報商材も…
ネットウォッチャーで炎上対策会社「MiTERU」のおおつねまさふみ代表取締役によると、著名人になりすましたアカウントは国内外で近年増加しており、その目的は“ネタとしてやっている”というものから、自身のサイトへの誘導や広告収入(1再生当たり0.1円~数円とされる)を得るために再生回数や再生時間、チャンネル登録者数を稼ぐものまで様々だという。「YouTubeは基準を厳しくしており、広告の申請もチャンネル登録者数1000人以上、動画の総視聴時間4000時間以上ないと通らなくなっている。つまり、昨日今日チャンネル作っても収益が得られないので、グレーゾーンの行為によってクリアしてしまおうという人が出てきているということだ」。
YouTubeでは規約で“なりすまし”を禁止しており、ユーザーから報告を受ければアカウント運用者に警告をし、それが3回重なれば停止といった措置も取っている。「アメリカ本国でも有名人になりすましたアカウントが“YouTubeチャンネルを作ったので登録してください”“キャンペーンをやっているので登録してください”といったメッセージを送りつけるスパム行為が流行ったため、昨年9月にはメッセージ機能を廃止している。そこで日本では動画を作る、変わったやり方が出てきた。最近話題になっているが、直ちに真偽を証明することの難しい「息子」「弟」を自称する者も多い」。
また“YouTubeで稼ぐ方法”を提供する情報商材もネット上で販売されており、中には「なりすましによる登録者数稼ぎ」を推奨しているものもあるという。「“YouTubeでサイドビジネスをしよう”“YouTubeで儲けよう”などとアピールし、“儲け方を教えるので情報を買ってください”と商売をしている人がいる。話題になったニュースの文章を読み上げるだけとか、テロップを流すだけなど、様々な手口があり、確かに“有名人のようなチャンネルを作って注目を集めることで、誤解した視聴者が間違って登録してくれる”とったノウハウが書かれていることもある。そのようにして、どうすればネットのユーザーにウケるかを研究し、地道にやっているので、ご本人が有名人だったとしても、普通にアップしているだけでは敵わない面もある」。
こうした状況は何もYouTubeだけにとどまらない。会見で手越が「Instagramだったり、TikTokだったり、“手越、これ本物?”って言われるんだけど、いま流れているYouTubeとTwitterしか開設していない」と困惑気味に話していたように、著名人の“公式”だと勘違いさせてしまうようなアカウントは大量に開設されている。手越に関しても、フォロワーが5.8万人に達する偽アカウントがあった。
「TwitterもYouTubeと同じで、“手越祐也ファンクラブを作ったので、このリンク先から個人情報を登録してください”“キャンペーンに応募して下さい”というページに誘導し、名簿集めをする。このときにLINEアカウントに登録させるなど、騙されたファンを他のサービスに移動させる場合もあるので、事業者単体では取り締まりにくい」。
■著名人がアカウントを開設していない、日本特有の事情も?
先月からニュースについて解説・議論する動画をYouTubeにアップしている作家の乙武洋匡氏は「毎週コツコツ頑張って、ようやくチャンネル登録者数が8000人だ。なりすましで1.3万人と聞くと心が折れる」と苦笑する。
慶應大学特別招聘教授・ドワンゴ社長の夏野剛氏は「今回の問題の背景にあるのは、所属事務所など、様々な事情からネット上のアクティビティをしてこなかった人が、会見の生放送のために突然チャンネルを開設したという点だ。これは“なりすまし野郎”にとっては最高の環境だ。手越君が前々からYouTubeチャンネルを開設していたら、このようなことにはならなかった。これだけの有名人が2020年になってようやくネットにアカウントを開設するという、“後進国状態”の日本でしか起こらない話しだ」と指摘。
その上で、「YouTubeを運営するGoogleも、正しい情報を表示するために統計学、ビッグデータを利用しながらサイエンティフィックにやっている。しかし、本人ではないが、ものすごくモノマネの上手い人の動画だったとしたら、その価値はどうだろうか。同姓同名の人だって山ほどいる。やはり本物かどうかではなく、人気が優先されるのが民主主義だし、問題のあるものはクレームが付いたりして、アクセスが減って順位も下がっていく。検索順位を挙げる技術で食っている“エセコンサル会社”もたくさんあるし、基準を公開することが、かえって手の内をさらすことにもなる。逆に言えば、ちゃんとした人や情報を出すことのできる旧来メディアはむしろラッキーだと思うべきだ。乙武君も、YouTubeをやる必要はない。広告収入のビジネスをやるということは、話題性があることとか、驚くようなことをやり続けないといけないということだ。識者として良いことを言っていくためには、自分に合ったメディアを選ぶことが大事だと思う」と話していた。
なお、深澤諭史弁護士によると、なりすましそのもので罪には問われることはないが、本人の名誉や経済的信用を毀損した場合は「名誉毀損罪」「信用毀損罪」に問われることもあり、なりすましで広告収入を得た場合、「詐欺罪」に問われる可能性もあるという。さらに、事務所などの業務に支障をきたした場合は、偽計業務妨害罪に問われたり、民事で損害賠償請求されたりすることもあるという。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
▶映像:話題の会見の裏で“偽手越祐也チャンネル”が大量発生!ネット時代にどう本物を見つける?
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