情報との接し方、自粛警察、感染者の特定…古今東西のゾンビ映画に学ぶ“withコロナ”
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 新型コロナウイルスによるパンデミックが続く中、「ゾンビ映画」が私たちにヒントを与えてくれるという。

・【映像】ゾンビ映画に学ぶ!?感染症対策のヒント 過去の名作に溢れる"先人の知恵"

 26日の『ABEMA Prime』では、古今東西のゾンビ作品に精通、「ゾンビ学」を教える岡本健・近畿大学准教授と、ゾンビメイクなどを教えている福田安佐子・国際ファッション専門職大学助教に話を聞いた。

情報との接し方、自粛警察、感染者の特定…古今東西のゾンビ映画に学ぶ“withコロナ”

 岡本氏によると、ゾンビ映画が始まったのは、1932年に遡るのだという。「最初に登場した映画だといわれているのが、『ホワイト・ゾンビ 恐怖城』(1932)だ。ただ、この作品では感染したり、ソンビが人を食べたりはしない」。そして、ゾンビが人を襲い、感染が広がっていくというモチーフは、“ゾンビ映画の父”と呼ばれるジョージ・A・ロメロ監督が確立させる。さらに2002年以降は、ダッシュして襲ってくるゾンビが登場。感染スピードも速さを増しているという。

 また、日本発の『バイオハザード』シリーズは映画化され世界中で大ヒット。交通事故で死んだ少女がゾンビとして蘇り、佐賀県のご当地アイドルとして活躍するアニメ『ゾンビランドサガ』という作品もある。「ゾンビもののいいところの一つが、“お金がかからない”というところ。大阪のUSJで『ハロウィーン・ホラー・ナイト』というゾンビに扮したキャストが出てくるイベントが始まったのも、経営危機の時にお金をかけずに新しいイベントをやろうと考えたのが始まりだ」(岡本氏)。

 「あらゆるモンスターの中で最も生と死、人間と動物、といった境界線の問題を突き付けてくるのがソンビだ、後進がさらなる解釈を加え、新しいゾンビ像を作っているので、今までジャンルとして生き延びているのだと思う」(福田氏)。

 岡本氏は、これまでのゾンビ映画が描いてきた数々のシチュエーションの中から、なぜパニックが起き、何をすれば失敗するのかといったパターンを読み解くことで、コロナ対策にも応用できることがあるはずだと指摘する。「数多くの作品が作られてきたということは、ゾンビが現れたときに人がどのような行動を取る可能性があるのか、そのシミュレーションを続けているようなものだともいえる。特に最近の映画の設定を見ると、ウイルス感染が非常に多く、それをいかに止めるかが描かれている」。

情報との接し方、自粛警察、感染者の特定…古今東西のゾンビ映画に学ぶ“withコロナ”

 そこで番組では、ゾンビ映画から導き出される教訓を2人に分類してもらった。まずは、「すぐに行動するな」だ。

 「まず、ちゃんと情報収集しないといけない。コロナに限らず、発信者が嘘をつこうと思っていなかったとしても、結果的に正しくない情報を流してしまうということもある。その判断も非常に難しい時代だ」(岡本氏)。

 その上で、「安全な場所は安全じゃない」。

 「『バイオハザード」シリーズではアラスカを目指すなど、“ここならゾンビが存在しないのではないか”ということで、いわばユートピアに向けて出発するパターンが多いが、その途中で襲われてしまうパターンも多い。漫画『アイアムアヒーロー』でも、富士山に行ってみたら人が溢れていたという設定だ。自分が思いつく場所というのは、みんなもそう思っている場所なので、人々が集まり、またそこでパニックが起こってしまう」(福田氏)。

 岡本氏も「映画『サバイバル・オブ・ザ・デッド』では、YouTubeの動画を信じて安全だとされる島に渡ってしまうが、それは人を集めようとして流したウソだったという設定だ。ネットの情報を裏取りせずに信じると飛んでもない結果になるというのは、現実でも同じだと思う」と指摘した。

情報との接し方、自粛警察、感染者の特定…古今東西のゾンビ映画に学ぶ“withコロナ”

 次に、「自警団を信じるな!」。

 ゾンビ映画では、自らの正義をふりかざし、ゾンビ退治をする“自警団”がしばしば登場するのだが、それが状況を悪化させてしまうことも少なくない。現実世界でも、コロナ禍では「自粛警察」が続々と登場した。

 「ロメロ監督の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968)では、一晩戦い抜いた主人公がゾンビに間違われ、自警団に撃ち殺されてしまう。新しい生存者グループが出会う度、正義感と正義感がぶつかりあい、実は人間の方がゾンビよりも多くの被害者を出しているというドラマだ。このように、ゾンビ的な状況においては何が正しく、何が間違っているかということがコロコロ変わってしまう。特に最近の作品では、実はゾンビが回復する病気だったり、噛まれたのに人間には襲いかからないゾンビになったりする設定もあり、“ゾンビになったらすぐ処分”という鉄則が崩れていて、何が正しい判断なのかはわからない、ということを教えてくれる」(福田氏)。

情報との接し方、自粛警察、感染者の特定…古今東西のゾンビ映画に学ぶ“withコロナ”

 そして、その先にあるのが「感染者の特定は失敗しがち」、「第二波はしっぺ返しに気をつけろ」だ。

 岡本氏は「感染者探しをやりすぎることで、本質からずれていくということがあるし、それを突き詰めていけば、“魔女狩り”に繋がってしまう。“こいつは感染しているからもうダメだ”と言ったり、感染していないのに“疑いがある”として酷いことをし始めたりと、まさにゾンビ映画でたくさん見てきた、人間の汚いところには気を付けないといけない」と指摘。

 「収まった後にまた広がった、という続編もある。『28日後...』という作品の続編『28週後...』は、パニックが収まったので大丈夫だよね、と戻ってきたところ、油断したことで広がり始めるというものだ。また、『CURED キュアード』 では、ゾンビウイルスに侵されたものの、治療法が見つかって人間に戻るという話だが、人間社会がその人たちをうまく受け入れられない様子が描かれる。やはり誰かを攻撃したり、排除したりすることによってしか社会が収まっていかないという現実を教えてくれる作品だと思う。ちなみに、ネタバレになってしまうが、『ウォーム・ボディーズ』では、逆にゾンビが人間に恋をすることで人間に戻れるという話だ。東日本大震災、原発事故後に公開された『シン・ゴジラ』では、何の説明もなく“ミリシーベルト”という単語が出てきた。あれも僕たちが原発事故を経験したからこそ分かるということだ。おそらく次に出てくる作品はコロナを意識し、乗り越えようとするものになると思う」。

 福田氏も「歴史的にも社会におけるマイノリティに発生源があるんじゃないかという思い込みでレッテルを貼ったり、デマが拡散したりしがちだ。しかし、そういう態度は差別を助長し、より大きな混乱を招くだけだ。また、『ワールド・ウォーZ』では、ブラッド・ピット演じる主人公が感染者を特定し、発生源と思われる場所にウイルス学者を連れていくが、失敗してしまう。このストーリーが教えてくれているのは、ウイルスの特徴をいかに把握し、いかに対処していくかということで、それはまさに最近言われている“共生”に近いものだと思う」とコメント。

 また、「外出自粛を続けることも難しいと思うので、そこは人の二手、三手先を読んで、“穴場”を見つけることや、ゾンビ映画やパンデミックはグローバリズムの裏返しでもあるので、これからはローカリズム、自分の地元のいいところを再発見してみるという、ポジティブな動きも出てくればいい」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

▶映像:ゾンビ映画に学ぶ!?感染症対策のヒント 過去の名作に溢れる"先人の知恵"

ゾンビ映画に学ぶ!?感染症対策のヒント 過去の名作に溢れる"先人の知恵"
ゾンビ映画に学ぶ!?感染症対策のヒント 過去の名作に溢れる"先人の知恵"