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 吉野北人は、主演映画『私がモテてどうすんだ』の取材日、どこか楽しそうにたたずんでいた。インタビューでは素直に内面を語りながらも、ときに遊びを残した回答をしてみせ、スチールの段では静かに色気を漂わせるような表情や、陽の光を浴びて開放的な笑みを残したりと、バリエーションに富むセッションで魅了した。THE RAMPAGE from EXILE TRIBEのヴォーカルとしてデビューして6年、俳優としてはおよそ3年、少しずつ積み上げたキャリアが、しっかりと花開いている変化が、わずかな時間からでも見て取れる。

 第40回講談社漫画賞・少女部門を受賞した、ぢゅん子による人気コミックの実写映画化『私がモテてどうすんだ』にて、吉野は史学部の後輩・芹沼花依(山口乃々華富田望生)に好意を寄せ、ライバルの男たちと競い合うことになる“サブカル系先輩”六見遊馬を演じた。太っていても痩せていても花依の容姿に惑わされることなく、彼女の本質をしっかりと見つめて寄り添うさまは、ティーンエイジャーのみならず、大人女子の心さえ奪うだろう。成長著しい吉野の心の声を、インタビューで探った。

現実味のないキャラクターに命を吹き込んで「お芝居としても、ちょっと成長したのかな」

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――とても楽しんで演じられていたような印象ですが、実際、撮影にはどんな心持ちで臨んでいたんですか?

吉野: 僕が演じた六見は、あまり現実味のないキャラクターだったので、その分、この役を演じるのがすごく楽しかったです。なかなか、こういうキャラクターを演じる機会もないと思うので、自分の表現の幅も広がったと思いますし、お芝居としてもちょっと成長したのかな、と感じています。

――もともと原作が漫画ということもあり、地上から少し浮いているような雰囲気の六見を映画の人物像として落とし込むことは、かなり難しかったのではないですか?

吉野: そうですね。平沼(紀久)監督からは、「日頃から六見になったらどう?ナチュラルにできると思うよ」とアドバイスをいただきました。それもあって、本番の1か月くらい前から、私生活でも六見になり切るようにしていたんです。「六見ならこうするかな?」、「こうしゃべるかな?」、「六見ってどんな歩き方するんだろう」と僕なりにいろいろ考えたりして。その期間があったので、(撮影)本番でも自然と六見になったのかなと思います。

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――平沼監督とは『HiGH&LOW THE WORST』に続いてのお取り組みですね。

吉野: はい。『THE WORST』が終わった直後に、この作品だったんです。無意識だったんですけど、『THE WORST』で演じていた(高城)司という役が『私モテ』のリハーサル中に、たまに出てきちゃったりもしていて…。監督に「眉間にシワが寄ってるよ」と言われたりしていましたね(苦笑)。少しずつ直してもらって、私生活でも六見になることで、司の要素も取れていきました。

――六見になりきったバージョンと素の吉野さんでは、どんなところに一番差があるんですか?

吉野: どこだろう~…(ニコニコ)。

――実はあまり差がない…?

吉野: もしかして、意外と似ているのかも(笑)。真っすぐなところは似ていますし、六見はオタクレベルでお城が好きだったり、自分の芯がすごくある人物ですけど、僕もひとつにハマってしまうと、それしか見えなくなっちゃうタイプなんです。歌に対しても、お芝居に対しても、恋愛にしても。全部ひとつのところしか見られないくらい、真っすぐなところは似ているかな、と思います。…でも、僕は六見のように鈍感ではないです!恋愛に関して、六見はたぶんまだ人を好きになる気持ちもわからないところだと思うけど…僕はさすがにそんな鈍感ではない(笑)。

役になり切るため…岩田剛典&山田裕貴に演技の相談をすることも

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――六見のお城級にハマっていること、今、何かありますか?

吉野: 最近は家にいる期間が長かったので、韓国ドラマを見ていました。『愛の不時着』と『梨泰院クラス』という王道の2本なんですけど、面白くて!韓国に興味を持ち始めて、実は韓国語を勉強しようと本も買ったんです。今、やるところです(笑)。

――原語を理解したいほどハマっているということは、演者の表現のほうにも興味があるということですかね?

吉野: そうです。韓国の俳優さん、女優さんは演技や表現力がすごいですよね。表現自体が楽しみで見ているところもあります。感情をぶつけたりする大きな表現もあれば、「ナチュラルですごいな」と思うところもあって、勉強として見てしまいます。

――表現で言えば、「お芝居の成長」のお話もありました。吉野さんが演技で迷ったとき、相談するような方はいるんですか?

吉野: 自分から相談すること、ありますね。ガンさん(岩田剛典)に、「まだ現場に慣れなくて緊張してしまって、思うような演技ができないんです」と相談したときは、「現場の数とか経験もあるよ」とか、いろいろなアドバイスをいただきました。(『THE WORST』で共演した)山田裕貴さんに相談をしたときは、「きっとまだ役に入り切れていないからだよ。役に入り込んでいたら、緊張もしなくなって、カメラ自体を気にしなくなるから、役に入り込んでいくことが大事だよ」と言われました。すごく覚えています。

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――こと役に入り込むことに関して、『私モテ』では十分、経験できたのではないですか?

吉野: 完全に「吉野北人ではなかったな」と思います。自分を消したいと思ってやっていたので、ひとつ、ひとつの台詞も「六見だ」ということだけを心に置いていました。「自分は六見、こう言うんだ」と信じて台詞も言っていましたし。…ちゃんと六見になっていたらうれしいと自分では思いますけど、何より観てもらった方にそう感じてもらえたらうれしいです。『私モテ』は原作ファンの方ももちろんご覧になると思うので、見た目は似ていないんですけど、一生懸命自分なりに六見を演じさせてもらったので、快く観ていただきたいです。

好きな人ができたら――「ライバルが誰でも引かない!」

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――ヒロインの花依がぽっちゃりから激痩せしたとき、六見だけは同一人物だと気づきます。ほかのライバル3人にはない六見の特徴ですよね。

吉野: 六見の素敵なところだと思います!本当に自然体な人物なので、六見を演じて、「狙わない格好よさもあるんだな」と気づきました。ナチュラルなものが一番人をひき立たるというか、魅力が出るというか。そこはすごく感じました。

――ちなみに、吉野さんは女性の変化に気づくほうですか?よく言われるような「髪を切った」云々。

吉野: 好きな人だったら、すぐ気づくかもしれないです!でも逆に…好きな人以外は、わからないと思う(笑)。

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――六見のようにライバルがたくさんいた場合、吉野さん自身はどうなるタイプだと思います? 

吉野: 引かないです。ライバルが誰でも、引かないです(笑)!想いがあふれるタイプなので、ばれるというか…伝えたくてしょうがないから、僕は言っちゃうんです。「好きです」と言うことを躊躇しないので、「今だ」というときに、パッと言います。

――逆バージョンで、吉野さんが花依みたいな状態だったら、どうなるんでしょうね。

吉野: 全然。興味がなかったらスルーです。自分が好きにならないと、連絡も取らないというか。

――思わせぶりなことはしないっていうことですね?

吉野: …ふふ、それはわからないです(ニヤッとする)。

――小悪魔ですね(笑)。男女問わず、吉野さんが惹かれる性格は、どんな方です?

吉野: 自分にないものを持っている人も素敵ですし、そこから学ぶこともあるんですけど、一緒にいて楽だったり惹かれるのは、やっぱり自分と似たような人かな。男女問わず、真っすぐな人、純粋で何事に対しても一生懸命な人に惹かれます。あと、当たり前のことを当たり前にできるような人もいいですし……いっぱいあります(笑)。

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――劇中では、山口乃々華さんと富田望生さんが「花依」というひとりのキャラクターを演じていて、ある種共有していると思うんですが、もし吉野さんが誰かの体を借りられるなら、誰を希望しますか?

吉野: 1回誰かになれるなら!?……(熟考)HIROさん!HIROさんは、本当に魅力がある方なので。それに、トレーニングもされているし、今もまだたぶん踊れると思うんです。もしも1回HIROさんになれたら、その体を覚えておけば「こうなればいいんだ!」とわかるので、1回HIROさんの体になってみたいです。

――体だけでなく、ビジネス面の部分で学びたい気持ちもありますか?

吉野: 全部です。体もビジネスも、どんな考えで、どういう風にアイデアが生まれるかとかも、1回知りたいです。その後、また自分に戻って、そこに向けてやっていく、ということをしてみたい。自粛期間中にも、「こういうときだからこそ、やれることいっぱいあるから」と、メッセージをいただいたりしました。どこか怠けちゃう部分もあったんですけど、HIROさんはすごく喝を入れてくださるというか、見えないところでも想ってくださっているんです。

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取材・文:赤山恭子

撮影:You Ishii

映画『私がモテてどうすんだ』

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 妄想大好き女子…なのに、4人のスーパーイケメンDKにモテまくる!?笑って!歌って!踊って!抱腹絶倒のミラクル☆ラブコメディ。アニメ大好き!BL大好き!妄想大好き!ヲタク道まっしぐらな花依(富田望生)は、大好きなアニメキャラが死んだショックで1週間も寝込んでしまったら…なんと激ヤセして、超絶美人(山口乃々華)に!そんな花依を好きになってしまう同じ学校のイケメンたち――サブカル系の六見先輩(吉野北人)、スポーツ系同級生の五十嵐くん(神尾楓珠)、チャラい系同級生の七島くん(伊藤あさひ)、ツンデレ系後輩の四ノ宮くん(奥野壮)。恋愛興味ナシなのに、モテまくる花依だが、ついつい彼らをBL目線で見て妄想してしまう…。「イケメン同士のカップリングが好きなのに、私がモテてどうすんだ~!」悩む花依が出す、想定外の答えとは?!

7月10日(金)より全国公開

(C)2020『私がモテてどうすんだ』製作委員会

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