東京の感染者数が連日の100人台…「夜の街を重点的に調べた結果。慌てず冷静な受け止めを」京大・宮沢准教授
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 東京ディズニーリゾートが4カ月ぶりに営業を再開するなど、経済活動の再開が進んできた東京。しかし、6日連続で50人を超えてきた東京都の新規感染者は2日、一気に107人に達した。同日夜に会見を開いた小池都知事は「感染拡大要警戒」として、「20代・30代の若者が今日も多くなっている。改めて“夜の街”は要注意だ」と呼びかけた。

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 2ヶ月ぶりの100人超に国内が騒然とする中、「107人という数字には全く驚かない。ホストクラブなど、夜の街の人を重点的に検査した結果であって、自粛の解除によって流行っているというわけではないとみるべきだ。そういう事情を知らないと慌ててしまう」と話すのが、京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授(ウイルス学)だ。

 「今は3月、4月の段階よりも5~10倍くらい検査をしているので、その分だけ陽性者数が多く出てしまうことは仕方がない。3月、4月にもっと調べればもっと出ていただろうし、渋谷の夜の街の人を対象に検査をすれば同じように陽性者が出ることも考えられる。そういうところを冷静に見てほしい」。

 一方、検査数が不足しているのではないかとの疑問については「もちろん、どこで流行っているのかを把握するために検査をすることは重要だが、全員を対象にするというのはどうだろうか。若い人の場合はほとんどが無症状なわけで、それを見つけて騒ぎ立てるというのもどうかと思う。ただ、介護施設や病院など、重症化しやすい人たちがいる場所については業務を続ける意味でも定期的に調べるべきだ。簡単な検査や抗原検査も出てきているので、政治的にも可能だと思う」とした。

■「飲み会で大声を出すことや、カラオケには注意を」

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 都内の会社員からは「やっぱり不安だ。飲みに行く回数とかをセーブしなければならない」また、“夜の街”で働くガールズバー店員からも「やばい。結構密室なので、それがちょっと怖い。かかる方ではなくうつす方が怖い」といった声が聞かれた。やはり大勢が集まるパーティや飲み会の開催・参加はしないほうが良いのだろうか。

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 宮沢准教授は実際に集団感染が発生したホストクラブで聞き取りをしており、名指しされている新宿のホストクラブの状況について「新宿では陽性者が出たホストクラブが営業を一定期間、自粛しているので、ピークは過ぎつつある状況だと思う。ただ、ホストの間では感染している一方、接客した女性にはほとんど感染していない。つまり、事は簡単ではなく、いわゆる“アフター”でどんちゃん騒ぎをしている中で感染している可能性もある。また、隔離された人にも聞き取りをしたが、1日だけ38.6℃くらいの発熱があったというのが最も症状が酷かったケースで、多くは無症状、あっても微熱や味覚障害で収まっていた。本人たちも“この程度なのか”“こんなに流行っているのか”と驚いていたくらいだ」と説明。

 その上で、「やはり免疫ができていない人もいるわけで、再び市中で流行する可能性がないとは言えない。現時点では普通の飲み会で集団発生しているというケースはあまりない。また、データは2週間前、1週間前の情報だということにも注意が必要だ。それでも、まだ心配する状況ではないと思う」との見方を示す。「自粛に反対していると捉えられがちだが、飲み会で大声を出すことや、カラオケには注意をするよう言い続けてきた。外や暑いところで喋らない限りマスクをする必要はないが、職場においても大きな声は出さない、喋る時はマスクをするということを継続してほしい」。

■「怖がり過ぎることも、怖がらないことも間違いだ」

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 今週、東京都は新たなモニタリング項目を公表している。これらは大きく「感染状況」と「医療体制」に分けられており、前者は新規感染者数や消防の電話窓口への発熱などの相談件数、感染経路不明者の数と増加比率が、後者はPCR検査・抗体検査の陽性率、救急医療の「東京ルール」適用件数、入院患者数、重症患者数となっている。

 都ではこれに基づき、新規感染者数が100人を超えた現状を「感染拡大要警戒」の段階にあるとしているが、小池都知事も“夜の街”への外出を控えるよう呼びかけたにとどまり、再度の休業自粛要請といった具体策については触れていない。こうしたことから、すでに撤廃された、都民に警戒を呼びかける「東京アラート」との違いが分からないと困惑する声もある。

 宮沢准教授はこれらの基準づくりや対策について「よく分からない。選挙のこともあるのかもしれない。ただ、数字で線を引くということは非常に困難だ。同じ数値でも、おじいちゃんおばあちゃんに広がっているのと若い人に広がっているのとでは全く意味が違う。強いていえば重症患者数、あるいは入院者数を見て対応すればいいと思うが、東京都の統計を見ると非常に低いまま推移しているので、現時点では“今まで通り警戒しましょう”くらいで問題ないと思う」とした。

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 また、今後については「怖がり過ぎることも、怖がらないことも間違いだ」と指摘。「猫の病原性コロナウイルスの場合、約1万個の感染性ウイルスが体内に入ることが必要なので、感染者から自分に入ってくるウイルスの数を100分の1に減らせれば、感染はほぼ防げる」として、「常日頃から“100分の1”を意識して、目・鼻・口を触らない、大声を出さない、マスクをするといった、それほど不自由はしないことを実践すればいい。冬場になってくるとまた増えてくる可能性があるので、大騒ぎしないで飲むといった遊び方を今のうちから身に付ければいいと思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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宮沢准教授による解説&独自提案
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