2日、東京都では2カ月ぶりに100人を超える新型コロナウイルスの感染者が確認され、小池都知事は「感染拡大要警戒」「“夜の街”要注意」との認識を示し注意を呼びかけた。その翌日、都内では124人の感染が確認されるなど、ここにきて増加傾向が続いている。
東京都は2日、新たなモニタリング指標において、「感染状況」を上から2番目にあたる「感染が拡大しつつあると思われる」という結果を示した。また、2本柱のもうひとつ「医療提供体制」については、上から3番目にあたる「体制強化の準備が必要であると思われる」としている。
なぜ休業要請などが検討されないのか。政治学者で東京都立大学法学部准教授の佐藤信氏は、第一に「感染状況」の評価について、「国も都も積極的な疫学調査、つまり無症状でも感染の疑いがある人を検査し、結果的に感染者数が増えているという見解。以前であれば無症状で検査を受けなかったり、受けられなかったりして感染者にカウントされなかった人たちが、今では検査されて感染が判明しているということで、100人超えという数字だけではなくその中身を見ていく必要がある。だからこそ、都は感染が拡大しつつあるがそこまでではないという評価をしている」と説明する。
また、「医療提供体制」についても、「入院できる病床数がある程度増えていると同時に、以前であれば症状が軽くても入院させていたのが、今は自宅療養などそこまで厳しくない方針になっている。結果として病床数には余裕があるため、今回は『体制強化の準備が必要であると思われる』という評価に落ち着いている」とした。
“数字の中身”を見て過剰な反応は不要と訴える佐藤氏だが、一方で休業などを呼びかける場合の目安となる数値基準が撤廃されたことには苦言を呈した。
「第一に、感染状況と医療体制の評価はそれぞれ4段階設定されているが、なぜその評価になるのか具体的な数値があるわけではなく、いまいちわからない。第二に、2日の会見で小池都知事は“感染拡大要警戒”とパネルを掲げたが、これが何を意味しているのかもよくわからない。第三に、それではどうなれば休業要請が出されるのか具体的な見通しも示されていない。加えて、新モニタリング指標は現時点では『試行』段階のはずなのにそれで方針を決めてしまうのも、疑念を招く。市民にとっては、どこまでいったらどういうことが起こるのかの見通しが立たないのが不安材料なのだから、(数字をそのまま怖れるべきではないが)医療提供体制に連動した動的なものでもよいので客観的な指標を出すことが求められている」




