ペットたちの暮らしにもコロナ禍が大きな影を落とす…環境省の業者規制案に課題も
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 新型コロナウイルスは、ペットたちにも様々な影響を与えているという。

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 千葉県内にある保険会社・アニコムホールディングスの施設では、新型コロナウイルスに感染した飼い主が治療や隔離生活を送る間、ペットの世話を無償で引き受けている。

 「5月頭以降、15世帯からワンちゃん18頭、ネコちゃん6頭、ウサギさん1羽をお預かりさせていただいている。単身で飼われていた方、ご夫婦・パートナーの二人ともが陽性になってしまった方、中には家族全員が陽性になってしまった方もいる」(麻生拓也獣医師)。

 この施設では預かったペットたちにPCR検査も実施。これまで陽性が出たケースはないというが、感染を防ぐため、万全の体制で飼い主の迎えを待つ。

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 また、保護犬や保護猫の譲渡を行っているNPO「保護PETS」代表の田口有希子氏によると、ペットを飼いたいという人が急増しているのだという。「応募が殺到するようになって、1頭の子につき10名の方の応募が来るくらい」。

 「保護PETS」も含む約145の保護団体が利用しているオンラインマッチングサービス「OMUSUBI」執行役員の井島七海氏は「OMUSUBIでも、新型コロナの前に比べて月間応募数が2倍になった。もともと犬猫を飼いたいと思っていたが、なかなか踏ん切りがつかなかったという方の中に、外出自粛によってペットを迎えたいと考える方が増える傾向にある」と話す。

■収入の減少や経済面の変化による飼育放棄も

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 一方で人間の無責任さを懸念する声もある。

 今月からは、ACジャパンによる「『親切な人に、見つけてもらってね』『優しそうに聞こえても、これは犯罪者のセリフです。どんな理由があろうと、どんなに心を痛めようと、動物を捨てること、虐待することは、犯罪です。日本動物愛護協会』」という内容のCMも流れている。

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 前出の田口氏は「コロナでお仕事がなくなってしまって家を引っ越さなくてはいけないが、次の物件ではペットが飼えなくなったという飼い主もいる」、井島氏も「引っ越さないといけなくなってしまったので愛犬を手放さないといけないという相談や、ペットショップから犬を迎えたが、経済的な理由でやっぱり飼えないといった相談が届いている」と明かす。

 ぎふ動物行動クリニックの奥田順之院長は「飼い主がステイホームによって関われる時間が長くなったことがプラスに働いたペットもいると思うが、逆に休校で子どもたちが家にいるようになり、ペットの不安が増した、という相談も多かった。自粛期間が終わってからは、飼い主と一緒にいれなくなったためにストレスを感じるようになるペットも少なくないのではないか」と話す。

■二階堂ふみらが声をあげた動物規制に指針も

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 また、劣悪な環境で動物を扱うブリーダーやペットショップの問題もある。

 猫を2匹飼っているというライターの速水健朗氏は「僕にとっては家族以上の存在で、猫無しの日常はありえない。最近ではペットショップで買うことに対して皆がシビアになっていて、ネットで炎上してしまうくらいだ。最近では困っている猫を見つける場所もあるし、動物の権利をきちんと守っているブリーダーから譲ってもらうとことがスタンダードになってきている」と話す。

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 そこで環境省では「犬猫の交配は原則6歳まで」「爪が伸びたままなど不適切状態はNG」など、ブリーダーやペットショップに対する新基準を示した。また、従業員1人あたりが飼育できる頭数についても、それぞれ上限を導入する。この点については、女優の二階堂ふみが「ペットショップに並ぶ子犬や子猫はどこから来たのか。知ること。考えること。そしてアクションを起こすこと。皆さんとより良い共存の世界を作りたいです。#数値規制」とInstagramに投稿、反響を呼んでもいる。

 奥田氏は「例えば飲んだテンションでの購入を防ぐため、展示販売ができる時間の規制はスタートしている。それでも現行の基準である、1日1回の掃除さえ守れていない業者もあった。環境省として踏み込んだ基準を出して頂いたと思うが、業界も巻き込んだ議論や合意形成には不十分なところもあった。例えば今回の基準に伴い廃業する業者も出てくると思うが、そこで飼われていた犬や猫をどうするかという、フォローの部分も必要だ」と指摘する。

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井島氏も「年内にパブコメ募集があるので、そこでのブラッシュアップを前提に考えれば、最低限の規制として前進していると感じる。一方で、やはり廃業した業者から出てくる犬猫のセーフティーネットの確保ができていないので、そこは業界全体の課題だと思っている」との考えを示した。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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