withコロナ時代の声優業界はどうなる?「収録時間が倍」「イベントは全滅」対応に追われる現場の悲鳴
【映像】ABEMAでみる
この記事の写真をみる(3枚)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、政府は「3つの密(密閉・密集・密接)」を避けるよう呼びかけている。withコロナ時代の声優業界は一体どうなっていくのだろうか。今回、『ABEMA Prime』では、声優業界の現実に迫った。

・【映像】声優の“ギャラ事情” ランク15~45それぞれの金額の違い(29分ごろ~)

 声優にもコロナの影響はあるのだろうか。青二プロダクション所属で「AKIRA」(金田役)、「頭文字D」(武内 樹役)、「ONE PIECE」(エンポリオ・イワンコフ役)、「魔進戦隊キラメイジャー」(魔進ショベロー役)などに出演している声優の岩田光央はこう明かす。

「(コロナウイルスの影響は)ある。いわゆる通常営業時は、例えばスタジオに10人、15人、多ければ20~30人が入って、2時間半から4時間かけてアニメーションを1本録る。しかし、今はそれをやってしまうと三密になってしまう。今はそれこそスタジオの中に最高でもせいぜい3人、1人とか2人。声優個人にとっては抜き録りという形になるので、仕事の時間としては、皆で集まって作るよりも速い。ただ、ずっとスタジオを押さえて入れ替わり立ち替わり、いつもだったら30人で録るところを3人という形で録っている。制作側が非常に大変だと思う」

 状況を見ていくと、アフレコ現場ではアクリル板で飛沫対策、少人数で対応することで、収録時間が倍以上になるケースもあるという。テレワークで収録(宅録)するアニメもあり、アナログ作業が多い制作現場は対応に追われている。その他、アニメイベントやライブは配信で対応するケースも増えている。

withコロナ時代の声優業界はどうなる?「収録時間が倍」「イベントは全滅」対応に追われる現場の悲鳴
拡大する

 声優が出演するイベントについても岩田は「全滅だ」と話す。

「僕は4月に朗読ユニット『カナタ』の公演を控えていたが、コロナ禍で中止・順延になった。相当影響があったので、クラウドファンディングを使って、今年中にやれるように努力している。withコロナで考えていった時に、やっぱり国で定められた条件があるので、半分集客という形に、プラス配信というものの“二毛作”でお客様に伝えていくことしかできないのかなと考えている。見せ方が変わってくるのを非常に感じている。今一生懸命それぞれが努力をしてやろうと思っている最中。年内にいろいろ皆さんが努力した中で、(新しい)イベントの見せ方が出てくるのではないかと思う」

 アニメ声優が出演するネットラジオ局「音泉(おんせん)」創業者のやまけん氏はこう語る。

withコロナ時代の声優業界はどうなる?「収録時間が倍」「イベントは全滅」対応に追われる現場の悲鳴
拡大する

「先ほど抜き録りという話が出たが、例えば洋画だと俳優さんが1人でバラバラに録ったものを繋ぎ合わせている。こういう時代だし、それでいいと思う。なんなら家で録ればいい。ただ、2人いないとリズムが出ない漫才と同じで、声優さんの芝居も、隣の役者さんがやった演技に返事をすることで芝居が続いていく。(芝居の)キャッチボールできないと『なんかおかしい』『あれ? なんか変だな』とよく聴けば分かる。スタジオワークに戻っていくと思うが、戻し方は難しい。それこそ10人、20人で大きい声を出すなと言われてしまっているので、スタジオでやれることは全部ダメ、外では録れないし、どうするんだよとは思っている。おそらく業界が抱えている一番の問題ではないかなと思う」

 スタジオワークへの「戻し方は難しい」というやまけん氏。withコロナ時代で声優業界がどのように変わっていくのか、新しいやり方が求められている。

ABEMA/『ABEMA Prime』より)

【映像】“9割が食べていけない”声優業界のリアル
【映像】“9割が食べていけない”声優業界のリアル

■Pick Up

【Z世代に聞いた】ティーンの日用品お買い物事情「家族で使うものは私が選ぶ」が半数以上 

この記事の写真をみる(3枚)