12日、大阪で府の独自基準に基づき、警戒を呼びかける黄色信号が点灯されるなど、“第2波”の到来を懸念する声が高まっている。菅官房長官は13日、「直ちに再び緊急事態宣言を発出する状況に該当するとは考えていない」との見解を示している。

 厚生労働省やWHOで医療政策に携わった坂元晴香・東京大学大学院特任研究員は「新規感染者数だけを追うことにはあまり意味がない。というのも、3、4月の頃は、“発熱が4日続いている人”“基礎疾患がある人”に検査対象を絞っていたが、現在は“夜の街”と呼ばれるところで、軽症や無症状の人に対しても積極的に集団検査を行っているからだ」と話す。

ジャーナリストの堀潤氏が「そもそも緊急事態宣言で自粛要請をした背景には、医療機関を守ろうということがあったと思う。今もその空き状況は大切な指標だと思うが、政治サイドが“足りている”“大丈夫だ”“万全だ”と言っているのに対し、専門家から“逼迫している”という声もある」と疑問を呈する、坂元氏は「集中治療室に入っている重症者の数というのはかなり減ってきているし、13日時点で見れば医療提供体制にはまだ余裕があると思う。ただ、これからの帰省や旅行などで地方に感染が広まってしまうことになれば、地方では逼迫してしまう医療機関が出てくる懸念もある。また、データの出し方や、いかに迅速に出すのかといった課題はある」と説明した。

 そんな中、集団感染が発生した新宿区の劇場では、濃厚接触者が先月30日から今月5日までの公演の出演者と観客らおよそ850人に上っており、保健所では全員がPCR検査を受けるよう呼び掛けている。

 「本件については断片的な情報しかないのではっきりとしたことは言えないが、実は出演者に体調不良の人がいたという報道や、事前に抗体検査を実施していたという報道もある。抗体検査は過去に感染していたかどうかを調べるものであって、仮に陰性が出たとしても、出演する日に陰性かどうかは全く別の話だ。また、抗体検査ではなくPCR検査を受けていたとしても、これも偽陰性の問題もあるし、症状が強くない時は検出率が低くなるという報告もある。いずれにせよ、症状があったのであれば休む、という判断ができればよかったと思う」(坂元氏)

 カンニング竹山は「舞台は何日もあるので、代役がいなければ、穴が開いてしまうことになる。演者としては、無理をしてでも何とか出ようと考えてしまうと思う。僕だって休むのが怖くて、“大丈夫ではないか”と思ってしまうかもしれないが、コロナに関してはそうではない、ということを皆が自覚しなければならない」と指摘した。

 一方、政府は8月から開始する予定だった「GoToトラベル」を大幅に前倒しする方針を示している。政府関係者の間では、先週末に“この時期にやるべきか”“県内限定でやるべきではないか”といった意見も出たというが、“今更止められない”という流れになり、22日にも始まる見通しだ。

 カンニング竹山は「テレビのディレクターに聞いた話だが、ロケハンが終わって居酒屋に入ろうとしたら、“東京から来た方はごめんなさい”と言われてしまったという。ディレクターは仕方がないと言っていたが、実際、地方では正しい情報が伝わらないまま、この居酒屋店主のような考え方になっている方がいっぱいいると思う。今のメディアの報道を見ていたら僕だって、感染が広がっていない地方に住んでいたとしたら、“東京の人は来ないで”“東京に行きたくない”と思うだろう。そういう中で“GoToトラベル”と言われても、なかなか難しいのではないか。正しい情報もなかなか出てこないし、政府の人たちも、どうすればいいのか分かってないのではないか」とコメント。堀氏も、「止めるべき経済活動と、回し続けなければならない経済活動の仕分けを丁寧に議論してほしいし、どこに責任の所在があるのかも分からない。この状況では、疑心暗鬼が先行してしまう」と懸念を示した。

 「夜の街」関連で感染が拡大する中、西村経済再生担当相はガイドラインを守っていない1都3県のバーやクラブなどの接待を伴う飲食店に対する休業要請を示唆したほか、小池都知事も「クラスターを出した所に対しての休業要請というか、そこの営業に関して協力してもらう。非常に全体での負荷が大きすぎるということもあるのでピンポイントで進めていく」との考えを示している。それでも「GoToトラベル」に対しては不安の声も根強く、むしろ全国的な休業要請を再び実施すべきだとの声もある。

 坂元氏は「経済とのバランスを考えると、あまり大々的な制限をかけるというよりも、本当にリスクの高いところで集中的な対策を実施したほうが良いと思う。東京を中心に感染者数が出ていると言っても、基本的には夜の街や集団での会食がほとんどだ。夜の街に何らかの補償とセットでの自粛要請や、“5人以上の会食を禁止する”といったことで感染増加を抑えられるのであれば、夜の街に出入りしない、仕事は在宅で外食もしていない、という人たちが地方で観光地を回るくらいであれば、感染リスクは低いのではないか。もちろん、感染拡大防止の観点で言えば、この時期にあちこちに出かけてしまうことは感染を広げるリスクがあるが、それでも地方の観光業が非常に厳しいと思う。GoToトラベルについても、やれる対策をやった上で実施を考えた方が良い」と話していた。