棋士の大事な「勝負服」和服についておしゃれな“貴族”佐藤天彦九段に聞いてみた「肩は軽い」「気持ちが高まる」
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 「和服」。日本在来の衣類を指す言葉で、普段着としては洋服が多くなった日本においても、愛好家は多い。普段使いできるものから、1式揃えると数十万円以上といった高価なものまで、そのランクも様々。将棋世界においては、ここぞという勝負の一局やタイトル戦、早指し棋戦「将棋日本シリーズ JTプロ公式戦」で着用することでも知られている。ファッションセンスの高さでも知られ、“貴族”の異名を持つ佐藤天彦九段(32)は「全部で10セットぐらいありますかね」と、レパートリーを紹介。最近では藤井聡太七段(17)の活躍でも注目となった和服について、話を聞いた。

▶中継:藤井聡太七段、今度の和服は?将棋日本シリーズ JTプロ公式戦 菅井竜也八段と対局

 畳の上で、基本は正座して行う将棋の対局。普段、棋士はスーツ姿で行うことが圧倒的に多いが、対局場が和室であることがほとんどのため、やはり和服は雰囲気としてもマッチする。名人3期の実績を誇る佐藤九段でも、タイトルをかけた番勝負などに出ない限り「めったに着る機会がない」ため、和服に袖を通す時にはテンションが上がる。

 佐藤九段は、10セットほど所有している和服を「組み合わせがいろいろできる」と、アレンジしている。かわいらしいアザラシの刺繍が入った羽織もあり、登場時には話題になった。今ではすっかり着慣れた和服だが、最初は「ちょっと戸惑ったと思います。スーツとだいぶ違いますから」と、当時の印象を振り返った。

 着付けも含め、いろいろと大変そうなイメージもある和服だが、いざ対局時はどうかと言えば「スーツに比べて、肩は結構軽いですね。生地が乗っているぐらいの感覚ですので、肩こりはしづらいです。風通しもいいです」と、肩への負担も少なく、この時期には過ごしやすいようだ。一方で「腰回りはしっかり締めているので、長時間やっていると腰のあたりは疲れてくるかもしれません」とも話した。食事休憩やトイレなどで対局場を離れる際、腰回りを緩めるのもいいかもしれない。

 機能性もさることながら、やはり棋士にとって和服は、大一番に向かうという気持ちを高めてくれるアイテム。佐藤九段も、和服のチョイスに「気持ちが高まる服を選んでいますね。夢がある服というか。僕が初めてタイトル戦に出た時も、色合わせでは男性らしい紺とかグレーが多かったと思います」と、まさに“勝負服”というものだという。

 ここ最近では、最年少タイトル獲得の期待がかかる藤井七段の和服姿に、ファン・関係者の注目が集まっている。「どの和服が高いか、そこまでの目利きはできないです」と笑った佐藤九段。残り半年になった2020年度も、順位戦A級をはじめ、各棋戦での活躍を目指している。お気に入りの和服を着て、大舞台で指すことを佐藤九段が一番願っている。

ABEMA/将棋チャンネルより)

2020年度「将棋日本シリーズ」 一回戦第三局 菅井竜也八段 対 藤井聡太七段
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将棋日本シリーズ JTプロ公式戦
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