「今やらなければ旅行業界の解雇が一気に進む」「来週には中止が決まるのではないか」“Go To キャンペーン”の是非めぐって激論
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 政府が22日にスタートさせる予定の「Go To トラベル」キャンペーンの是非をめぐって、激しい議論が巻き怒っている。

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 この事業は国内旅行を対象に、代金の2分の1相当を補助する事業で、うち7割は代金の割引、3割は旅先で買い物・飲食に使える地域共通クーポンを配るというものだ。予算規模は1兆3000億円あまりで、赤羽国土交通大臣は「単なる観光需要回復対策でなく、withコロナの時代における安全で安心な新しい旅のスタイルを普及定着させることも重要な目的だ」と説明している。

■「今年5月の宿泊費支出は前年同月比97.6%減少」

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 緊急事態宣言などにより、今年5月の宿泊費支出は前年同月比97.6%減少(総務省「家計調査」)するなど、観光業界は厳しい状況に置かれている。エコノミストの鈴木卓実氏は「収益がなければ緊急貸付が返済できなくなり、地銀・信金の経営にも悪影響を及ぼす」と指摘する。また、休業や外出自粛で疲弊した地方経済の活性化に期待を寄せる自治体の首長からは「ぜひ成功させたい」(岡山県の伊原木知事)、「コロナ禍でも稼がないといけない。工夫しながらやっていくしかない」(和歌山県の仁坂吉伸知事)といった声も上がっている。

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 一方、都内の旅行会社・株式会社アドベンチャーでは予約のキャンセルが相次ぎ、Twitterでも“#GoToキャンペーンを中止してください”がトレンド入りするなど、異論も根強い。新規感染者が増加傾向にある自治体の首長からは「近隣県などの小さい単位から始めて、感染の様子を見ながら、全国的に広げていくのがいいんじゃないか」(大阪府の吉村知事)、「実施の時期であるとか、その方法などについては改めてよくお考えいただきたい」(東京都の小池知事)と懸念の声もある。

 国土交通省幹部は「中止は絶対ない。延期もないと思う」、政府高官は「感染防止に気をつけながら旅行すればいいんだよ」と話しているという「Go To トラベル」だが、私たちはどのように考えればいいのだろうか。

■宇佐美典也氏「今じゃないと観光業界が持たない」

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 元経産官僚の制度アナリストの宇佐美典也氏は「はっきり言えば、今じゃないと観光業界が持たない」と指摘する。

 「本当であれば、観光業界の人たちはみんな解雇されていてもおかしくない状況だが、なぜ乗り切ることができているかと言えば、政府からの休業補償があるからだ。普通、休業した場合の国からの補助は3分の2だが、コロナ期間だけ特別に100%になっている。また、銀行も休業補償があるという前提でつなぎ融資をしてくれる。これらが無くなれば企業がもたなくなる。その期限が来るのが7月23日だ。これを過ぎると一気に解雇が進んでしまうので、政府はリスクがあっても観光をしてもらおうという方向に踏み切った。もしGo Toをしないということなら、速攻でこの緊急期間を延ばすという判断をしなければならない。国として観光産業はいらないという判断をするのもありかもしれないが、9月に出てくるであろう数百万単位の失業者を受け入れる産業もないと思う。そういう中で、国が切り捨てをしていいのだろうか」。

 その上で宇佐美氏は「感染を拡大させてしまうのではないかと皆が心配しているのに、政府が都合のいいことを言うだけだ。もし東京から地方に行った人が感染したときにどのような対応すればいいのか、政府は説明しているだろうか。旅行中に感染しても、国は地方に任せて考えてくれないということにはならないか」と疑問を呈した。

夏野剛氏「来週には中止が決まるのではないか」

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 一方、慶應義塾大学の夏野剛特別招聘教授は「損をするので、誰も中止すると言いたがらないだけだ。僕の見立てでは、来週には中止が決まるのではないか」と持論を展開する。

 「若い世代を中心に弛緩した状態になり、感染者数や陽性率も上昇する中、常識的に考えて、今このタイミングでやる必要はない。緊急事態宣言の時もそうだが、“世論がそうなったから中止する”ということにすれば、誰も傷つかない。日本は中国のように政府が国民に押し付けるわけでもないし、メディアも必ず反対の論を張る。だからギリギリにならないと決められないということだ。そもそも日本のGDPに占める国内観光の割合は4%しかない。強行しなければならないほど割合が高いわけでもないし、Go Toをやらなかったからといって観光業が全てダメになるわけでもないだろう。東京と大阪は外すなどの対策を取るのが現実的なのかもしれないが、このタイミングでやる必要はないのではないか」。

■自民・武井議員「丁寧に説明してご理解をいただき、進めていきたい」

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 自民党で観光立国調査会事務局次長を務める武井俊輔衆議院議員は「旅館、ホテル、観光バスだけでなく、リネンや食材を納めている業者、さらに農家さんなど、観光は本当に裾野が広く、観光業だけで845万人、関連産業まで入れるとその3倍くらいの人が従事しているとも言われている。そのくらい幅広い業種に影響が及んでいることは事実だ。観光を回していくことが大事だというのは、ほぼ全ての都道府県が認識しているのは間違いない」と説明する。

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 「民意によって選ばれた知事さんたちなので、自分の自治体を守るという立場を取るのも当然だし、その発言は重く受け止めなければならない。ただ、無理やり行かせるという政策ではないし、歓迎されていないところに行こうとか、旅行の商品を作ろうということにはならないと思う。地域によって感染が多いところ少ないところがあるので、どういう段階、形で来ていただきたいのか、そこは各自治体が地域の観光団体とよく話をし、発信することが大事だ。地方の場合、隣県・近県からの観光客が約8割なので、例えば九州というエリアでこのキャンペーンを活用するということもできるし、“まだ時期尚早である”というのも一つの判断だと思う。政府としても、対策ができていない施設については対象にしないなどの取り組みをしているし、“新しい旅のエチケット”といったガイドラインも出している。丁寧に説明してご理解をいただき、進めていきたい」。

■パックン「“withコロナ”ではなく、“コロナ根絶”を目指すのか」

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 また、お笑いタレントのパックンは「withコロナと言っている時点で、観光を公金で支えるのか、それとも個人が観光にかけるお金で支えるのかの2択しかない。夏野さんはGDPの4%とおっしゃったが、あれだけ大事にされている農林水産業は全て合わせても1.2%に過ぎない。逆に言えば、その4倍にもなる観光業を見捨てていいのかと思う。僕は反対だが、それでも“観光業を潰す”という選択肢もありかもしれない。もう一つが観光業を助けるということだ」と指摘。

 そして、「同時に新規感染が減少するという保証はどこにもない。むしろこれくらいの数字であれば、“維持可能”と判断してもいいのかもしれない。この重症者6人、死亡者0人の東京から観光に行くな”と言うなら、“withコロナ”ではなく、ニュージーランドや中国のように“コロナ根絶”という旗を掲げなければならないのではないか。withコロナはどの業界にとってもリスクがある。舞台も講演会も出張も全て止めて、自由に行動できる日本になるまで根絶を目指さなければならないのではないか」と訴えた。

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 武井議員は「旅行というのは、自分のお金と時間を使って行くもの。不安が大きいとか、行き先で歓迎されないということになれば、そもそも行こうとは思わないはずだ。その意味では、Go Toに対する世論がこれだけ厳しいということを本当に重く受け止めなければいけない。政府としては有識者会議の判断も踏まえ、より一層の対策をするということが議論されていくと思うし、旅行業界、観光業界としてもそれを受け止めてプランを作る必要がある。業界が本当に厳しい状況にあるということは理解いただけると思うので、何とか共存できる道を見出していかなければ」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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