有観客興行再開となった7月19日のRISE後楽園ホール大会で、最もインパクトのある決着となったのが志朗vs清志の一戦だ。志朗はムエタイの世界で数々の実績を誇る強豪。昨年はルールの違うRISEの世界トーナメントに参戦し、決勝進出を果たした。決勝では敗れたものの那須川天心を苦しめている。
今年は那須川との対戦権をかけて開催されるアジアトーナメントにエントリーした志朗。今回の試合はトーナメント制覇、そして打倒・天心。つまりリベンジに向けての試金石となる格好のアピールの場だ。そして志朗は、実際にこれ以上ないほどのアピールをしてみせた。
ゴング直後に強烈なローキックを叩き込むと、ボディにはフック。フィニッシュは右ストレートをヒットさせた。ダウンから立ち上がった清志だが足元がフラつき、レフェリーが試合をストップ。1ラウンドわずか26秒でKO勝利を飾った。
中継の解説を務めた原口健飛によると、拳がヒットしたのは「テンプルとアゴの間」。完璧に急所を射抜いたわけではないが、それでも倒し切るだけの威力があったということだろう。
「最高の勝ち方ができました。アジアトーナメントに向けて“強い志朗”を見せることができた」
勝利者インタビューで、志朗はそう語っている。本人にとっても納得のいく勝ち方がめきたようだ。
RISEルールではムエタイの特徴であるヒジ打ちが禁止、組みついての攻撃も制限される。そんな中、ローキックとパンチだけで相手を圧倒したことは“RISE仕様の志朗”という意味でも収穫が大きい。下半期のRISEは“打倒・天心”候補となる選手たちの闘いが大きなポイントになりそうだ。
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