大物ファイターがRISE初参戦を果たした。7月19日の後楽園ホール大会に出場した緑川創だ。緑川は日本中量級のトップファイター。“打倒ムエタイ”に邁進、ムエタイの殿堂ラジャダムナンスタジアムのベルトに挑戦し、またK-1 MAX王者アンディ・サワーを下す金星も。
そんな“グリーンモンスター”が、30代にして新たな戦場を求めた。今年4月、無観客で開催されたケージ大会『Road to ONE』でキックの試合を行ない、今回はRISEへ。2020年、コロナ禍の中で大きな選択をしたことになる。
しかもRISE初戦の相手は、階級が下ではあるもののチャンピオンの“ブラックパンサー”ベイノアだ。階級を上げての“大物食い”を狙ったベイノアはスピード感あふれるバックスピンキックを繰り出すなど大胆な動きを見せる。だが緑川は落ち着いた試合運び。1ラウンド、狙い澄ました右ストレートでダウンを奪ってみせた。
2ラウンドになるとベイノアが逆襲、右ハイキックからラッシュを仕掛けるが、ピンチで踏ん張るのも一流ファイターの所以。緑川は的確に打ち返し、右フックで再度ダウンさせた。最終3ラウンドにベイノアが見せた追撃をさばくと、きっちり盛り返して試合を終えた緑川。判定は3-0、貫禄の勝利だった。
緑川がRISE参戦を決意したのは、ミドル級王者のイ・ソンヒョンと闘いたいからだという。対戦アピールとしては充分な内容だったと言えるだろう。
「どんな形でも(ソンヒョンと)組んでもらえれば」という緑川。今後もRISEに出場し続けるつもりだが、同時に「ヒジあり(ルールの試合)もやっていきたい。ムエタイのベルトをあきらめきれない気持ちもあるので」
ヒジ打ちなしのRISEと“打倒ムエタイ”の両立はかなり困難。だが緑川はこう言う。
「自分の人生なんで好きな道を行きたいです」
ベテランなのに、いやベテランだからこそか。迷いない人生の選択ができることも、緑川の強さと言ってよさそうだ。
文/橋本宗洋
(C)RISE