Twitter利用者の何気ない行為が、著作権侵害にあたるかもしれないという最高裁の判断が、7月22日の朝日新聞で報じられた。裁判のテーマになったのは、北海道の風景を題材にする写真家が、自身のウェブサイトに載せたスズランの写真について。Twitter上で何者かによって無断で投稿され、さらに別のアカウントでもリツイートされたが、投稿者はもとより、リツイートしたことも著作権侵害にあたる、というものだ。
無断投稿だけでなく、リツイートまでもが著作者の権利を侵害していると判断された理由には、Twitterの仕様が大きく関係している。例えば、1枚の画像を投稿した際、元の画像の一部がトリミング(切り取られる)状態で表示される。画像に著作者の表記があった場合、その部分がトリミングされて表示されたのだ。
今回の裁判では、この写真をリツイートした場合も名前が表示されないことで「著作者人格権」の侵害にあたると判断。Twitter社に対して、リツイートした人など、5つのアカウントのメールアドレスを開示するよう命じた。Twitter社は、画像をクリックすれば撮影者名の入った元の写真が表示されると反論したが、利用者が常にクリックするとは言えないなどとして、退けた。
インターネットや著作権問題に詳しい岡本健太郎弁護士は「トリミングの仕様もTwitterが決定するところだが、今回の最高裁の判断は、そのリツイートを行ったリツイート者が侵害行為をしているという判断になっているので、若干、実態に反するところは、少なくともあるのかなと感じた」という。
投稿されている全ての写真について、リツイートしただけで著作権侵害になるわけではない。最初の段階で、無断で投稿されたものかどうかがポイントだ。権利を持つ者がアップロードしたものであれば、問題はない。
一方で、岡本弁護士は、利用者が著作権への意識を高めると共に、Twitter社も何らかの対応を取ることが望ましいと指摘する。「著作権、著作物というのは身の周りに、非常にあふれている。ちょっとした行為でも、広い意味での著作権侵害となってしまうこともある」とし、運営側に対し、「SNSのプロバイダーの観点から言うと、ユーザーが安心してサービスが利用できる環境を整備していく必要がある」と、利用者を守る対策を求めていた。
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