完全劣勢からの目を疑うような大逆転劇が、“失神KO”で完結した瞬間、実況席から「止めた! 落ちてた~!」と驚きの声が上がり、ネット上には「洗濯バサミ」の文字が躍った。
7月24日、新木場『Studio Coast』で開催された「パンクラス316」において、終始劣勢からの目を疑うような大逆転劇が繰り広げられた。聖王DATE(Team DATE)と力也(KRAZY BEE)の対戦で、聖王が「洗濯バサミ」で絞め落として1本勝ち。まさか数秒で形勢をひっくり返した大逆転に視聴者からも驚きの声が上がった。
力也はレスリングのグレコローマンスタイルでインカレ2連覇、世界学生選手権5位の経歴を持つレスリングのエリート。総合格闘家を目指して過去に格闘代理戦争のトライアウトも受けており、ここまでの戦績は1勝1敗。対する聖王DATEは、パンクラスの登竜門である「ネオブラッド・トーナメント」にここ3年連続で出場し、パンクラスにも定期参戦しているが、1勝6敗と大きく負け越している。
1ラウンドは力也がペースを握る。序盤にテイクダウン、上から左右のパウンド。聖王も一度は立ち上がりこの状況の打開を狙うも、簡単につぶされてしまう。ラウンド後半、力也はスタンドでの左右のワンツー、ケージ際での攻防も制し、1ラウンドは3-0のジャッジで力也優勢という流れ。
2ラウンド、蹴りをベースに攻めに出る聖王に対し、力也が冷静に距離をとると、低空の右オーバーハンドでダウンを奪う。決定的かに思えた一撃に視聴者からも「終わった」「これは効いてる」といった声が聞かれたが、聖王は続くパウンドの連打をかろうじて耐え凌いだ。
(下になり、出血もし、終始苦しそうだった聖王)
その後、聖王は下から足を絡め、防御するのが精一杯という状況。一方、攻めに攻めた力也もガス欠気味で、振り下ろすパンチはコツコツと迫力を欠いた。下になる聖王の頭や鼻からは出血があり、これまでの劣勢を物語っていた。
しかし、ここで崖っぷちの聖王が仕掛けた。両足を伸ばし太ももで締める通称「洗濯バサミ」。さらにそこから変形気味な横三角で首をがっちりロック。小さく肘を使ったパウンドも入りはじめ、聖王が一瞬にして形勢を逆転。千載一遇のチャンスとみた聖王は、もう一段階ギアを上げるかのようにピンと足を伸ばし、変形の洗濯バサミで締め上げると、力也が落ちてレフェリーがストップした。大逆転の失神KO勝利だった。
正式な決まり手は「フロントチョーク」も、この珍しいフィニッシュシーンに実況は思わず「落ちてた~!」と絶叫。解説も「この形はちょっと予想できませんでした」と驚いた様子だった。また、この劇的勝利に視聴者は大盛り上がり。「洗濯バサミから横三角」「入ってる」「なにこれ!」「洗濯バサミで落ちちゃったよ」「まじかw」などと、驚きの声が続々寄せられていた。
謎のインド王族武術を標げるDATE軍団に所属する聖王DATEは、試合後に「ヨーガでしっかり逆転勝利しました!」と謎ツイート。この只ならぬ寝業師ぶりにネット上には「DATEのスキあらば勝つスタイルだな」「チャンスを引き寄せる集中力を維持していたのがすごい」と称賛のコメントが並んでいた。