新型コロナで子どもの心は二極化? “短い夏休み”を過ごす3つのポイント
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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自粛や休校で、子どもたちが強いストレスを受けているのではないかという実態が、国立成育医療研究センターが行った調査の中間報告で明らかになった。

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 調査は6月15日から29日までの期間、小学生から高校生までの4560人(子ども618人、保護者3942人)を対象に実施。このうち、直近1週間の登校・登園の状況は「ほぼ通常通りに行った」が52%と半数だった一方、「通常よりは頻度や時間が少ないが行った」が23%、「行かなかった(自粛)」が5%、行かなかった(閉園・休校)が2%と3割は通常通りではない状況だった。

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 また、子ども618人に聞いた「こころの様子」では、「コロナのこと考えるとイヤだ」が38%、「さいきん集中できない」が31%、「すぐにイライラしてしまう」が26%、「寝つけない・よる目が覚める」が25%という回答だった。

 これらの調査結果について、明星大学准教授で臨床心理士の藤井靖氏は、自身が小学生~高校生と面談を行い現場の声を聞いていることを踏まえ、「国立成育医療研究センターの調査は大規模で、重要なデータだと思う。ただ、コロナのことを考えて『イヤではない』と答えるのは難しいので、『イヤだ』と答える人はそれなりにいるだろう。現場の状況と合わせて考えてみると、『集中できない』『イライラしてしまう』というのは特に一致していると思う」との見方を示す。

 一方で、子どもの様子は“二極化”していると指摘。「コロナによる休校や自粛の期間があっても、『なんでもない』もしくは精神的な反応は一時的という子がそれなりにいる。反対に不眠も含めて症状なり特徴が出てきている子というのは、我々が学校などで見ていて元々気になる子のほうが多かったなという印象がある。0から1になったというよりは、元々悩みや問題、不安があった子たちがより大きくなっているという実態があるのではないかとみている」と述べた。

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 調査の中には、「もし自分や家族がコロナになったら、そのことは秘密にしたい?」という質問もある。これに「そう思う」と答えたのは、子どもが34%であるのに対し保護者が76%だった。保護者がより秘密にしたいと考える理由として、藤井氏は「そもそも自分が病気になったというのはある程度プライベートな情報なので、それを秘密にするという発想は大前提としてあると思う。とはいえ、保護者が76%というのはそれなりに大きくて、過敏さや過剰さを伴う社会環境の中で周りにどう思われるかというところが、大人になればなるほど気になっているということだと思う」と分析。

 また、子どもに関しても親から受けている影響が考えられるとし、「家庭によって健康を守る意識や予防の感覚にズレはあるし、子どもの心が親に引っ張られるというのは、秘密にしたいかに限らず起こりやすいこと。親が社会状況を踏まえて意識していることは子どもにも伝播している印象がある」とした。

 子どもたちはまもなく夏休みを迎えるが、気をつけることや過ごし方のポイントはあるのか。藤井氏は、(1)子どもの生活リズムを守るために勉強を、(2)子どもと日常の共有、(3)親自身の精神的安定、の3つを挙げた。

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 「ひとつ目は、コロナの影響で学校に行っていない時間が長かったとしても、やはり夏休みは遊ぶ・休む時間にしてほしい。学校によって宿題は出たり出なかったりだが、勉強については子どもの生活リズムを守るために活用してほしい。もちろん中身も大事でやれていなかった分を取り戻して追いつくという考えもあるが、それは決められたことを全部やらないといけないという履修主義に囚われた発想だと思う。実際、休校に起因した学力格差も心配されたほどは出ていない印象がある。その意味では、あまり堅く考えないことが大事。短い夏休みだが遊ぶ・休むことを前提に、朝起きて植物の観察をしたりドリルをする時間を決めるなど、その後また学校に戻ることを考えて、生活リズムを守るために勉強を生活の中に位置づけてほしい。

 2つ目は子どもと日常の共有で、夏休みに旅行や帰省、遠出ができず家庭のアクティビティをどう確保するか、時間をどう過ごすかという悩みが親から挙げられることがある。これを言うと一部の保護者の夢を壊すようだが、毎年旅行でどこどこに行ったというのは子どもにはあまり関係がなくて、同じ時間を親と過ごしたり、普段の学校生活の中ではできにくいことを経験するということに意義がある。そういう意味では、それこそ買い物に行ったり家でゲームをしたり、外でお弁当を食べるなど、親と楽しく遊べたりちょっとした時間を過ごせることが大事で、余力があれば『ほんの少しの特別』を日常に加えるくらいで十分だと思う。

 3つ目の親自身の精神的安定は、プラスもマイナスも両方の部分が子どもに伝わるので、自分なりの気分転換の方法や生活の中で気持ちを安定させることを保護者の方には考えてほしい。ストレスの解消方法は数多くあればあるほどいいし、短い時間であっても一人の時間も持てると良い」

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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