コロナ禍で防除に苦慮…世界でバッタが大量発生、過去のケースでは最長15年間も
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 世界各地でバッタが大量発生している。なかでも2月頃からアフリカで発生、東部諸国ではここ数十年で最悪の被害をもたらしているのが、「サバクトビバッタ」だ。年に3回繁殖、生後1カ月半で成虫、条件が揃えば前の世代の10~16倍のペースで増殖。1日に東京-静岡間に相当する距離を飛行するなど、長い移動距離でも知られている。しかも雑食性で、自分と同じ体重分の植物を食べてしまうことから、進路にある農作物を食べ尽くし、食料危機をもたらしてしまうのだ。

・【映像】"世界最凶"バッタが大量発生中 未来の食糧危機を生むリスクも

コロナ禍で防除に苦慮…世界でバッタが大量発生、過去のケースでは最長15年間も
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 ケニアでの農業従事者は「食料がなくなった場合、新型コロナの移動規制の中で、どうやってケニアに食料を運び込むんだ」と話す。さらに大群は東へと移動を続けており、インドやパキスタンにまで到達。パキスタン政府は自動車で殺虫剤を散布するなどの対応に追われている。また、インドではドローンを導入しているが、やはり農作物に大きな被害が出ている。

 農業生物資源研究所などでサバクトビバッタを20年以上研究してきた田中誠二氏(応用昆虫学)は「準備もできていない状況で、何十年ぶりかの大発生。現地の人は非常に危機感を持っているのではないか」。

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 田中氏によると、今回のサバクトビバッタの大量発生には、2018年にインド洋で発生、アラビア半島に大雨をもたらしたサイクロンが関係しているという。

 「砂漠に湖ができるくらいの大量の雨が降った結果、エサになる草がたくさん生え、大量に発生するようになった。その結果、行動や体色も変化する。ひっそりと生活している時にはお互いを避けるが、インタラクションが多くなると性質が荒くなり、今度は集合するようになってくる。インドあたりで発生したものは食べても問題ないし、油で素揚げにしたり野菜と炒めたりすると美味しいが、アフリカなどで発生したものは毒やアレルギー源を持った植物を食べている場合があり、人体への影響が出る可能性もある」。

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 さらに南米では「南アメリカバッタ」、中国では「クルマバッタモドキ」が大量発生している。

 「南米では5、60年ぶりの大発生が始まっているし、中国の雲南省ではラオスの方から別のイナゴが襲来していて、盛んに防除が行われているようだ。中国で発生しているクルマバッタモドキの仲間はこれから産卵の時期を迎えるのであまり飛ばないし、産卵後は休眠してしまうので、来年まで次の世代は出てこない。これが日本に飛んでくる可能性は少ないと思う。一方、生息地に行って防除するということくらいしかできないが、沖縄の南大東島ではタイワンツチイナゴの発生があると聞いている」。

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 現在、国連食糧農業機関(FAO)が対応に当たっているというが、新型コロナウイルスによって各国の空港が閉鎖されており、専門家が出入国ができない、機材や農薬の輸送ができないなど、駆除活動に影響が出ている。

 田中氏は「FAOでは定期的に気温や地温、植物の繁茂状態をモニターし、危険な所や、バッタが出ているような所があれば、各国に対し防除の指示を出す。ただ、経済的に苦しい国や、内戦がある国では、なかなか行動が取りにくいのが現状だ。また、コロナによって防除に支障をきたしているのも難しい部分だ」と説明。「一度大発生してしまうと、人間にできることは限られてしまうが、時間が経てば必ず収束はする。それでも過去100年、サバクトビバッタの大発生は7回起こっていて、短いもので3年、長いもので15年にわたっている。また、1950年代には15年間、毎年大発生が起こっていた。予測するのは非常に困難で、来年は大丈夫だという保証もない。そこは悩ましいところだ」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

"世界最凶"バッタが大量発生中 未来の食糧危機を生むリスクも
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