長い将棋会の歴史においても、記録的な長さで注目を集めている第5期叡王戦七番勝負。「七番勝負」と言いつつ、第6局まで終えて永瀬拓矢叡王(王座、27)と豊島将之竜王・名人(30)は、2勝2敗2持将棋で五分の星。明日8月10日に行われる第7局でも決着がつかず、最短でも第8局までかかることが決まっている。千日手1回、持将棋2回、200手超が3局という異例のシリーズに、日本将棋連盟は8月7日、第8局・第9局の開催概要に加え、指し直し等に関する特別ルールを発表した。
▶中継:千日手、持将棋あるか!?永瀬叡王 対 豊島竜王・名人 叡王戦第7局
永瀬叡王、豊島竜王・名人という「二冠対決」は、とにかく長くなっている。第1局から千日手となると第2局、第3局は2局連続で持将棋成立という、史上初の事態となった。第4局も熱戦となり、第2局から第4局まで3局続けて200手超の長手数。持ち時間が未時間こともある独特なタイトル戦だが、今期においてはいろいろな意味で「長い」がキーワードになっている。
七番勝負が第8局以降にもつれ込んだことがあるが、注目すべきは特別ルールだ。発表された内容のうち「第8局と第9局の特別ルールについて」と記されたところには、千日手・持将棋について詳細が記されている。
千日手については、午後9時30分より後に成立した際は、後日指し直しと言われてきたが、今回の発表では「成立時刻に関わらず、原則として即日指し直しを行う」とされた。第8局の持ち時間は各6時間。遅い時間に成立したとなれば、同じ持ち時間の順位戦同様に、日をまたぐ一局になる可能性も大いにある。
また持将棋についても「成立時刻に関わらず、原則として即日次局を行う」とされた。長手数となる相入玉が、持将棋の成立要件の一つだけに、こちらも成立することがあれば、深夜の対局開始が見込まれる。本来であれば指し直しではないため、持ち時間はフルの状態で行われるが、今回の特別ルールでは「次局の持時間は千日手の規定に準ずるものとする」とされており、両者持ち時間を使い切っていれば1時間ずつから始まることもある。
今回の特別ルールの発表も、永瀬叡王と豊島竜王・名人という、絶対に負けない将棋を目指した両者の戦いが生んだもの。見る側からしても、なかなかの体力勝負となりそうだが、めったにないことだけにしっかりと目に焼き付けたいシリーズだ。
第8局は9月6日、第9局は9月21日に行われる。
(ABEMA/将棋チャンネルより)