アメリカの“中国アプリ禁止”、日本は客観的に見る必要も? ひろゆき氏「トランプがTikTokを嫌いなだけでは?」
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 トランプ大統領は6日、動画アプリ「TikTok」とコミュニケーションアプリ「WeChat」を運営する中国企業との取引を45日後、つまり9月20日から禁止する大統領令を発表した。

【映像】アメリカ“中国アプリ禁止”の影響は

 日本ではあまり普及していない印象のWeChatだが、世界的に見るとその影響はTikTok以上になるとみられている。TikTokは世界で約8億人が利用しているのに対し、WeChatはそれを凌ぐ約10億人。キャッシュレス決済などでも利用されている。

 TikTokに続くWeChatの禁止は、世界そして日本にどのような影響を及ぼすのか。

■中国アプリ禁止の影響は? セキュリティ問題から逸脱も?

アメリカの“中国アプリ禁止”、日本は客観的に見る必要も? ひろゆき氏「トランプがTikTokを嫌いなだけでは?」

 アメリカ大統領令では、TikTok(バイトダンス)について「位置情報、閲覧履歴などを自動的に収集」と指摘。WeChat(テンセント)については「膨大な情報を自動的に収集」と指摘し、それぞれの企業との取引を禁止するとしている。

 WeChatは2011年にリリースされ、利用者は世界で10億人。1日のやり取りは450億件にものぼる。LINEのようなチャット機能とFacebookのような個人情報の発信といったコミュニケーション機能があるほか、決済サービス「WeChatペイ」はアリババの「Alipay」と並ぶ二大巨頭。行政機関等も公式アカウントを運用している“スーパーアプリ”だ。

アメリカの“中国アプリ禁止”、日本は客観的に見る必要も? ひろゆき氏「トランプがTikTokを嫌いなだけでは?」

 中国事情に精通する戦略科学者の中川コージ氏は「一般的なエンタメコンテンツというよりも、仕事上使っている方が非常に多い。民間のビジネスだけでなく、行政の中でも“WeChat完了主義”という言葉まであるくらい浸透しているアプリだ」と説明する。

 開発したテンセント(Tencent)は、百度(Baidu)、アリババ(Alibaba)のそれぞれの頭文字を取って「BAT」と呼ばれる、中国IT御三家の1社だ。WeChatを中心とするSNSからゲームの開発、オンデマンド事業などを手掛けている。また、ゲーム開発などで多数の会社と資本提携し、海外の映画、ドラマなどの中国国内向け正規代理店でもある。

アメリカの“中国アプリ禁止”、日本は客観的に見る必要も? ひろゆき氏「トランプがTikTokを嫌いなだけでは?」

 テンセントとの取引禁止による影響について、中川氏は「WeChatだけであれば、在米中国人が中国本土と連絡を取ったり、米国内で中国人とやり取りすることへの影響で済むと思う。ただテンセント本体となると、株式時価総額でも世界ランキングトップ10に入ってくるような企業で出資先や提携先も非常に多くなるので、影響は甚大になると思う」との見方を示す。

 テンセントはゲーム会社などへも資本投入している。ワシントンポストは「テンセントは人気ゲーム『フォートナイト』開発会社の株を過半数程度保有しているが、大統領令には含まれていないように見える」としているが、2ちゃんねる創設者のひろゆき(西村博之)氏は「テンセントは世界で一番大きなゲーム会社だ。eスポーツで使われる『リーグ・オブ・レジェンド』や『フォートナイト』、『PUBG(プレイヤーアンノウンズ バトルグラウンズ)』とか、今流行っている撃ち合いゲームで賞金が高いものには、大体テンセントが金を入れている。そのあたりが全てダメになったら、eスポーツがなくなってしまうのではないか」と懸念した。

アメリカの“中国アプリ禁止”、日本は客観的に見る必要も? ひろゆき氏「トランプがTikTokを嫌いなだけでは?」

 さらに、ひろゆき氏は「元々は(情報取得という)セキュリティの問題だったが、大統領令の中に経済的理由が入ってしまっている。アメリカの色々なゲーム会社が買われるなどしていて、結局セキュリティどうこうではなく、元々やっていた中国との経済貿易戦争の一環として、中国に行くお金を止めるという話ではないかと思っている」と指摘する。

 また、オンラインサロン「田端大学」塾長の田端信太郎氏は「そもそも中国国内では海外のアプリを締め出している。トランプはいま支持率が下がっているが、結構いいところに目を付けた。元々中国が市場をフルオープンにしているならどうなのかとなるが、自分たちは守っているのに外には攻め込むのがアンフェアだいうのは、誰が聞いてもそうだろうと思う」と述べた。

アメリカの“中国アプリ禁止”、日本は客観的に見る必要も? ひろゆき氏「トランプがTikTokを嫌いなだけでは?」

 米中の対立構造について中川氏は、「今回のTikTokもWeChatも含めて、アメリカ側の“安全保障”という話が出てくる。アメリカが米中対立構造の中でよくやっているのは、中国企業がダメになった場合、アメリカ企業がその市場を取りに行くということ。要は締め付けが目的のように見えているが、実質的には『自分たちに利益をよこせ』という面も強い」との見方を示した。

 TikTokをめぐっては、米マイクロソフトによる買収案が浮上している。マイクロソフトは2日、「一部の事業の買収について交渉中で、9月15日までに協議を完了」と公表。トランプ大統領は3日、マイクロソフトに対し「買収を進めて欲しい」としている。

 この件に関して中川氏は、「マイクロソフトであれば経済安全保障が大丈夫かというと、それ自体が崩れている。マイクロソフトは中国政府とべったりで来たIT企業だ。例えば、中国の蘇州工業園区というところには、マイクロソフトのAI開発センターを作るなどしている。そういうこともあり、マイクロソフトが(TikTokを)買収したからといって経済安全保障は大丈夫なのか?という疑問はある」と話す。

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 また、ひろゆき氏の「中国で一生懸命育てて世界でうまくいったのに、アメリカに『お前のところダメだから、アメリカの会社に売れ』と強制的に言われる。売らないのなら中止というのは、他の国からすればあり得ないほどの横暴だ」との意見に対し、「要は、中国が自由主義的、アメリカが統制経済的なことをやっていて、構造が逆転しているという状況はある。そこで見えるのは、例えばアメリカサイドのプラットフォームと中国サイドのプラットフォームが世界市場で戦っているところで、アメリカとしてはテンセントを叩けばプラットフォームビジネスを取れるという裏がある。そういう意味で、日本などの他の国とは違う部分がある」とした。

■ひろゆき氏「トランプ大統領がTikTokを嫌いなだけでは?」

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 大統領令を受けて、中国外務省の汪文斌副報道局長は7日、「アメリカが安全保障を口実に国家権力を乱用して、企業を理不尽に弾圧するのはあからさまな覇権主義だ。中国は断固反対する」と憤りを示した。また、バイトダンスは「公平な対応をしなければ米国の裁判所に提訴する。中国政府にユーザーデータを提供していない。業務を米国企業に売ることもできると示した」、テンセントは「理解を深めるため大統領令を精読している」としている。

 WeChatの排除はビジネスなどへの影響も懸念されている。Twitterでは「WeChatないと中国現地とやり取りする方法マジでない」「シンガポールの華僑の人と連絡取る時はWeChat使うのに…」「WeChat以上のアプリを日本で開発してほしい」などの声が上がっている。

アメリカの“中国アプリ禁止”、日本は客観的に見る必要も? ひろゆき氏「トランプがTikTokを嫌いなだけでは?」

 不安の声に中川氏は「連絡のやり取りだとすれば、Eメールに戻ったり、中国に対してVPNを使ってWeChatを使ったりするなど、なんらかの方法はあると思う」とする一方、「WeChatで我々が関係するかもしれないのは、例えばWeChatペイ。今後インバウンド需要があるのであれば日本に影響はあると思うが、今は新型コロナで…というところはある。また、中国人が『Steam』などのオンラインプラットフォームに対して支払いをする時、WeChatペイやAlipayを使ったりするので、アメリカが支払いを受け取れなくなるということもあるのではないか。これに関してはまだよく分からない部分が大きい」と話す。

 日本への影響について、AV女優の紗倉まなは「日本がアメリカと中国の板挟みになっている状況で、この規制を反映して日本はどのような対応を取っていくのか」とさらに質問。

アメリカの“中国アプリ禁止”、日本は客観的に見る必要も? ひろゆき氏「トランプがTikTokを嫌いなだけでは?」

 中川氏は「日米同盟が堅固なものであるから、明らかにアメリカにつかなければいけないという声が大きくなっている。反中=親米という風になってしまっていて、本来はイコールではなく、反中と親米は別の概念だということを客観的に見ておかないといけない。アメリカの決定に完全に従うかどうかは、盲目的にではなくもう少し精査して、日本国内の産業として正しいのかをきちんと考えなければいけない」と述べた。

 現在、テンセントと関係のある日本企業は多くある。例えば、任天堂の「Nintendo Switch」を中国で販売する正規代理店であったり、『君の名は。』などを制作するコミックス・ウェーブ・フィルムとは中国国内での配信で提携している。

アメリカの“中国アプリ禁止”、日本は客観的に見る必要も? ひろゆき氏「トランプがTikTokを嫌いなだけでは?」

 中川氏は、コンテンツ市場に及ぶ影響について「マーケットとしてコンテンツ産業は急成長している。日本のアニメも中国国内での配信時、映画館もあるが動画のプラットフォーム、ネットやiPadみたいな形で見られることも多い。そこで脱チャイナ、要は中国を切るということになると、中国から『じゃあ日本はいいよ』と排除されることになる可能性もある。我々が市場を失うリスクも考えた上で、長期的に見てアメリカに追随していくのが本当にいいことなのか、それともアメリカに玉虫色でやっておくのがいいのかは、少し考えなければいけない」と懸念を示す。

 一方でひろゆき氏は「TikTok排除も、アメリカというよりトランプ大統領が集会を邪魔されて、『TikTokが嫌いだ』という個人的な理由の方が大きい気がする」と述べた。

ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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