将棋の叡王戦七番勝負第7局が8月10日に東京都渋谷区の将棋会館で行われ、永瀬拓矢叡王(王座、27)が豊島将之竜王・名人(30)に91手で勝利、シリーズ成績を3勝2敗2持将棋1千日手として、初防衛に王手をかけた。永瀬叡王は防衛を果たせばタイトル3期となり、九段昇段の条件も満たす。
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千日手1回、持将棋2回、200手超が3局と、「とにかく長い叡王戦」となっていた今シリーズだが、勝った方がタイトルに王手をかける重要な一局は、永瀬叡王のものだった。先手番から相掛かりを採用し、積極的な仕掛けを見せると中盤からペースを握り、その後も隙きなく着々とリードを拡大。最終盤には、豊島竜王・名人から捨て身の反撃を受けるも、しっかりと蓄えていた持ち時間も有効に使い、落ち着いて対応。逆転を許すことなく、そのまま押し切る快勝だった。
これまでタイトルをかけた番勝負で最も合計手数が多かったのは1982年、第40期名人戦の中原誠名人と加藤一二三十段の戦いで、千日手2回、持将棋1回、都合10局による1230手だったが、この日の91手で合計1232手となり、記録を38年ぶりに塗り替えた。
今回のシリーズは千日手、持将棋が相次いだことから、第7局が行われる前に、第8局・第9局に関する特別ルールも発表された。第8局、第9局に千日手・持将棋が成立した場合は、その時間に関わらず指し直し・次局が行われる。持将棋の場合は「引き分け」扱いのため、本来であれば持ち時間をフルの状態から始めるが、今回に限り千日手のように持ち時間を引き継ぐ(少ない方の持時間を1時間とし、加えた時間を相手にも加算する)。
(ABEMA/将棋チャンネルより)