呪われた星のもとに生まれた王子が、ある女性と出会ったことをきっかけに運命を変えていく姿を力強くロマンティックに描いた時代劇。ヒロインの男装や愉快な脇キャラたちといったラブコメ要素も楽しい、見どころたっぷりのドラマがABEMAにて初放送される。
近隣の国々を統一し、新しい国・高麗を建て自ら王となったワン・ゴン(太祖)。彼の第四子として生まれたワン・ソ(チャン・ヒョク)は「高麗を血の海にするだろう」という予言を受け、幼い頃から山中で暮らしていた。数年後、たくましく成長したワン・ソは王に呼び戻され、宮殿にやってくるが、目の前で王が何者かに襲われてしまう。犯人を追って晋(中国)に渡ったワン・ソは、そこで青海商団を副首領として率いるシンユル(オ・ヨンソ)と出会い、彼女が朝鮮半島の北部にあった国・渤海の最後の王女と知らないまま、偽りの結婚式を挙げることになる。
韓国の時代劇というと、14世紀末から20世紀はじめまで続いた朝鮮王朝の時代を背景とした作品が圧倒的に多いが、『輝くか、狂うか』はその一つ前、高麗時代の初期を舞台としている。同じ時代を描いたドラマとしては、初代王の生涯を壮大なスケールで見せる『太祖王建』や、ワン・ゴンの息子たちを旬の俳優たちが演じたファンタジー・ロマンス『麗〈レイ〉~花萌ゆる8人の皇子たち~』、ハ・ジウォン主演の『奇皇后ー二つの愛 涙の誓いー』、タイムスリップが盛り込まれた『シンイー信義ー』などが作られている。『輝くか、狂うか』では、一度は宮廷から追放された皇子(後に第4代王・光宗となる)が、父である皇帝の死にまつわる陰謀を追いながら、運命の人との切ない愛を深めていく。
ワン・ソ役を演じているのは『ボイス~112の奇跡~』のチャン・ヒョク。武道家としても知られている彼が、得意のアクションはもちろん、調査のため身分を隠して商団に潜り込んだ時に見せる軽妙なやりとりなど、多彩な魅力を発揮している。自分の運命を呪いながら生きてきたワン・ソに、初めて誰かを「助ける」ことができると気づかせたシンユルへの熱く深い思いも感動的だ。出会った際にシンユルがベールをかぶっていたため、彼女の顔がわからず、近くにいてもなかなかその存在に気づかないという設定もドキドキさせる。
多言語を自在に操り、強いリーダーシップで商団を率いるシンユルに扮しているのは、『花遊記〈ファユギ〉』のオ・ヨンソ。望まぬ結婚を避けるため“偽の新郎”になってくれたワン・ソを忘れられなかった彼女だが、再会した彼は、その地位を守るためにすでに結婚していた。そのことに気づかないまま、商団にやってきたワン・ソの前に男装姿で現れ、親しくなっていく。彼女を支える女性ペンミョを『愛の不時着』のキム・ソニョンが愛嬌たっぷりに演じている。
さらに、一族を王の座に就けるためワン・ソと政略結婚したファンボ・ヨウォンを『逆賊ー民の英雄 ホン・ギルドンー』や映画『エクストリーム・ジョブ』のイ・ハニ、彼女の弟で、シンユルに惹かれていくワン・ゴンの第五子ワン・ウクを『ハベクの新婦』のイム・ジュファンが演じている。
テキスト:佐藤結