この秋、立ち技格闘技イベントRISEが2大ビッグマッチを開催する。そこで行なわれるのは、3つのトーナメントだ。
8月13日の会見で開催が発表されたのは、10月11日の横浜・ぴあアリーナMM大会と、11月1日のエディオンアリーナ大阪大会。この2大会で63kg級トーナメント、女子トーナメント、那須川天心挑戦者決定トーナメントが行なわれる。コロナ禍で外国人選手の来日が不可能となっている状況のため、日本人(日本在住選手)のみの出場となるが、それだけに“負けられない”という気持ちのぶつかり合いになる。
4選手出場の63kgトーナメントには、白鳥大珠、原口健飛、直樹のエントリーが決定。白鳥は昨年の世界トーナメント61kg級を制覇。RISEライト級王者の原口は、10日のRIZINで大雅をKOしたことでさらに勢いに乗っている。
原口は会見を欠席したものの、VTRで「間違いなくビビってる必死やん。ダッサ(笑)」と白鳥を挑発。この会見の前からツイッター上でもやりあっており、因縁が生まれている。
会見にZoomで参加した白鳥も黙ってはいない。「(トーナメントではなく)ワンマッチでもいいと思ってました。勘違いしてるんでやってやらないと分からない。ナメてるんでボコボコにします。今まで味わったことがないような一撃を与えます」と応戦。やはりこの2人がトーナメントの焦点になりそうだ。
那須川天心との対戦権をかけた55kgトーナメントには、鈴木真彦と志朗の参戦が決定。昨年の世界トーナメント決勝で那須川に敗れている志朗は「あの負けから毎日、RISEルールで那須川選手にどう勝つかを考えてます」、「那須川選手と闘うためにRISEにいると言っても過言ではない」と強い意気込みを語っている。
11.1大阪大会でのワンマッチも決定。会見で発表されたのは、那須川天心vs裕樹の一戦だ。この試合はもともと6月に予定されていたものがスライド。3階級制覇を達成した“ミスターRISE”裕樹のラストマッチとなる。
この大一番に、裕樹は自身のベスト体重よりはるかに軽い58kg契約での試合を臨んだ。58kgは那須川が昨年の世界トーナメントを制した階級。自分と体重をすり合わせるのではなく、相手に合わせた体重で「世界を獲った那須川天心」と闘いたいというのが裕樹の思いだ。そして「引退試合だから那須川天心と試合ができるというのは僕の性格からして受け入れられない。自分としては58kgで4階級制覇をするつもりで闘います」と語った。
当然、減量も過酷になる。裕樹はこの会見の時点で体重を落とし始めており、頬がこけて見えた。過酷な減量の結果、筋肉が落ちたとしても「動けるほうが大事」。作戦は得意技であるローキック一本であることも明かした。
「那須川天心の1試合を自分に割いてくれたことに感謝します。でも感謝するのはここまで。ここからは敵とみなして死ぬ気で練習します」
会見後のツイートによると、ジムのある兵庫に戻る新幹線で「首を刈られるイメージがフッと入ってきた」裕樹は「(このままでは)確実に負ける」と帰宅後すぐに走り込みを行なったという。
そんな裕樹の思いを知った上で「情は捨てた」と言うのが那須川だ。
「有終の美は飾らせない。最初から、普通に倒しにいきます」
裕樹の覚悟に対して、那須川には那須川の“トップとしての仕事”がある。感謝の気持ちがあるからこそ、きっちり倒すのが自分の役割だと那須川。RISEのビッグマッチにふさわしい、新旧エース対決だ。