東京・中目黒でルームシェア生活を送る小春と彩乃。共に好きな仕事を持ち価値観の合う二人は、悠々自適な独身生活を送っていた。しかしある日、彩乃が妊娠。シングルマザーになるという決断を経て、二人の関係や仕事観、家族との向き合い方、そして生き方も変わっていく…。映画『Daughters』が9月18日に公開される。小春を演じた三吉彩花と彩乃を演じた阿部純子。スクリーンを通して見えたのは、まるで二人の暮らしをのぞいているかのようなリアリティ。三吉と阿部はどのようにその空気を作り上げたのか。10ヶ月にも渡る撮影期間を振り返ってもらった。

クランクイン前に舞台のアパートを訪問

 これまで共演経験のなかった二人は、同じ事務所に所属しているものの、廊下ですれ違うほどの面識。同作での共演が決まった際の当初の印象は、お互いに「三吉ちゃんはいつも黒いお洋服でシックにキメているので、最初はどんなお話から始めたらいいんだろうと緊張しました」(阿部)、「お互いにどういう方なのか全くわからない状態からスタートして、私も最初何から話していいか分からなくて、性格とかも真逆なんだろうなと思っていた」(三吉)というものだった。

 しかし、二人が演じるのはルームシェアをするほどの信頼関係を築いている女友達。できるだけその関係に近づきリアリティを出そうと、三吉は撮影前に一つの提案をする。クランクイン前に、小春と彩乃が住む中目黒の部屋を実際に訪れてみようと阿部を誘ったのだ。

「台本をいただいた段階で、三吉ちゃんが舞台となったアパートに一緒に行こうよって誘ってくれたんです。小春と彩乃、二人で住んでいるのに、撮影が始まってしまうとどうしてもみなさんがいらっしゃるので、二人だけでアパートに行ったらどういう感じになるんだろうねって」(阿部)

 お互いに好きなものを買って中目黒のアパートでお昼ごはんを食べながら、おしゃべり。そうして過ごすうちに、二人の空気は打ち解けたものに。

「だんだん時間が経つと、結構しゃべる方なのだと気づきました(笑)。そういう時間があったから、あの空気を作れたんだと思います。純ちゃんは、どんどん自分の話、興味のあることを話してくれて、好奇心がすごく強い方だった。そこから自分も(心を)開きやすくなりました」(三吉)

「三吉ちゃんは、話してみるとすごく話しやすくて、かっこいいし頼り甲斐のある方でした。撮影が進むにつれて補い合えるような関係性になっていったと思います。私にないものを三吉ちゃんは持っていて、火をつけてくれる瞬間がたくさんありました」(阿部)

“母親”になるということがわからない 阿部の悩みが彩乃にもたせたリアリティ

 三吉は小春を演じるにあたり「何も役作りをしなかった」と語る。

「お芝居で演じている二人という風に見せたくなくて。小春と彩乃が過ごしてきた時間を見せたかった。二人が感じていることや、相手が言った言葉を受けて出てくる言葉、それで成立している空気を見せたかった。二人プラス一人(彩乃の子ども)がちょっとずつ成長していく話、強くなっていく女の人の話になればいいなと思っていました」(三吉)

 そんな三吉の狙いを体現したかのような出来となった本作だが、それには阿部が現場で抱えていた葛藤が大きな役割を果たした。阿部は、“母親”になる決断をし、次第にお腹が大きくなっていく彩乃の心を本当に自分は理解できているのか、自信を持てなかったのだ。

「出産を経験した友達に聞いたり、調べたりしたんですが、どうしても“母になる”ということがわからなくて、そのわからなさが役と向き合えているのかという葛藤につながって、常に撮影中は悩んでいました」(阿部)

 その現場での葛藤は、カメラを通してそのまま “シングルマザーの道を選ぶ彩乃の迷いや不安”として投影された。完成した作品を観たとき、阿部は「(“母親”になるという感覚は)頭で理解できるものでない。人それぞれ違っていいんだ」と気づかされたそうだ。

 彩乃をそばで見守り続けるという小春を演じる三吉にもそれは影響した。三吉は「純ちゃんは現場で本当に悩んでいて、自分で解消したいけど消化し切れてない感じを、私はずっと横で見ていました。でも、純ちゃんがこれだけ悩んでいたからこそ、それを受けた私のスタンスがちゃんと小春になっていきました。意識せずとも純ちゃんは彩乃としてずっとその場でいてくれたので、私も自然と小春になっていきました」と振り返る。

「“自分は絶対こう思う”という発信をしないようにしている」

 最初は互いに楽しいことを共有し価値観の合う“ラク”な関係だった小春と彩乃は、彩乃のお腹が大きくなるにつれ本音で向き合わざるを得なくなり、かっこつけない自分をさらけ出すようになる。

 女同士、いくら仲が良くても衝突することはあるだろう。自身にとって友情関係で心がけていることを尋ねると、三吉は「人それぞれ価値観も違うし、ひとつの出来事をどう受け取るかも違う。『自分は絶対こう思う』という発信をしないようにしています。自分の意見を言うことはもちろんあるんですけど、みんなの意見はあるし、そこを押しつけすぎない。断定しすぎないようにしています」と、相手の立場を想像するようにしていると回答。「ずっと友達でいるも、途中から合わなくなるも、その人たちの選択の自由」と、無理に“友達”という関係に縛られる必要がないとしながらも、そういったスタンスであることで、自然と自分の周りにはポジティブな友人だけが残ったと語り「今自分の周りいる友人や一緒にお仕事してくださっている方はすごく暖かい方ばかりです」と感謝する。

 阿部も三吉の意見に同意し、「寄り添えることが大事だと思う」と答え、「押し付けるんじゃなくて、自分の気持ちも伝えつつ寄り添えることができれば、大変な時も支えになるのだと思います」とうなづく。

自分自身がしっかりしていれば何を選んでも輝ける 『Daughters』から学んだこと

 「普段は自分の出演作を観ると、自分の芝居が気になってあまり客観視して観ることがない」という三吉だが、「今回は本当に二人がそのまま小春と彩乃としてスクリーンの中で生活しているのを観ている感覚でした」と、阿部とのリアルな関係が産んだ映画の中の小春と彩乃の姿に自信あり。

 「自分が今まで携わってきた映画の中でも一番思い入れの強い映画」と断言し、「女優をやっていてよかったと思いました。小春と一緒にずっと1年間過ごしながらも、自分ならばどうするのだろうと考えさせられる映画だったので、それが観てくださる方にも伝われば嬉しい。人としての成長の物語でもあるし、女性の友情の物語でもあるし、そういった女性を取り巻く社会が、どんどん時代が進んでいっているということを、よりナチュラルに観やすくしてくれた作品だと思います」と観客に呼びかける。

 阿部も「今の時代、いろんな価値観が変わりつつあって、いろんな選択肢がある中で、どれも正解でどれも正解じゃないように見える。でも、自分の中で一番正解だと思えることが見つけることが大事。自分自身がしっかりしていれば、何を選んでも輝けるし、幸せの形は一つじゃないんだなと感じさせてくれた」と、小春と彩乃から得た学びを噛み締めていた。

『Daughters』

9月18日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

脚本・監督:津田肇    

出演:三吉彩花、阿部純子、黒谷友香、大方斐紗子、鶴見辰吾、大塚寧々

(c)「Daughters」製作委員会

テキスト:堤茜子

写真:You Ishii

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