自民党の菅義偉新総裁が16日午後、衆院本会議で行われた首班指名選挙で第99代首相に選出された。菅総理はただちに組閣に着手し、今夜にも菅内閣が発足する。
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新閣僚となる21人にさまざまな声が上がっている。新閣僚のうち、安倍内閣からの再任は8人だ。また、武田良太国家公安委員長が総務大臣に、防衛大臣だった河野太郎氏を行革担当大臣に横滑りで起用。再入閣は上川陽子元法務大臣と田村憲久元厚労大臣、小此木八郎元国家公安委員長で、同じポストになる。デジタル担当大臣には、平井卓也元IT担当大臣が再入閣する。
初入閣は5人に留まり、農林水産大臣に野上浩太郎元官房副長官、防衛大臣に安倍総理の実の弟である岸信夫元外務副大臣、復興大臣に平沢勝栄元内閣府副大臣、一億総活躍担当大臣に坂本哲志元総務副大臣、そして、新設となった万博担当大臣には井上信治元環境副大臣が就任する。
関係者への取材によると、菅氏は「最高の“仕事人内閣”ができた」と周囲に漏らしているといい、自身が官房長官として仕事ぶりを見ていた人を配置した結果だ。今回の新閣僚の特徴について、取材中のテレビ朝日政治部の安間由太記者は「菅氏は自民党の全ての派閥から閣僚を抜擢している。総裁選の際に菅氏を支持した5つの派閥以外に、石破派・岸田派からも抜擢したことで、党内に配慮し、安定した基盤作りを重視しているのではないか」と語る。
菅氏が訴える改革は、どこまで推進できるのだろうか。安間記者は新閣僚の人事に「安倍政権の継続性が表れている」と話す。
「今回の人事で(改革実施を)行政改革担当大臣の河野氏に託す形になった。ただ、河野氏は6月、新型迎撃ミサイルシステム『イージス・アショア』の配備計画の断念を表明する際、各所に十分な“根回し”を行わないまま断念を打ち出したため、反発を受けた経緯がある。防衛省では国家安全保障環境が厳しくなっていて、イージス・アショア断念に端を発した議論も行われている。こうした中で大変重要なポストになっている防衛大臣に安倍総理の実の弟である岸さんを据えたのは、安倍政権の継承を象徴する人事なのでは」
総裁選では“改革”を強く打ち出していた菅氏だったが、こうした人事に自民党幹部の中では「何をしたいのかわからない内閣だ」と指摘もあり、わかりづらいという声も上がっている。
「蓋を開けてみると初入閣は5人で、女性閣僚は上川陽子法務大臣と橋本聖子東京オリンピック・パラリンピック担当大臣の2人。30代で入閣するのは小泉進次郎さんだけで、その小泉進次郎さんも39歳。50代、60代が中心で、若返ったというイメージはない」(テレビ朝日政治部・安間由太記者)
“アベカラー”が色濃く出た形になった今回の人事。政権の安定を図りながら、改革をどこまで進められるかが、焦点になりそうだ。
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