映画『ミッドナイトスワン』公開記念舞台挨拶が9月27日、TOHOシネマズ六本木ヒルズシアター7にて行われ、草なぎ剛、服部樹咲、水川あさみ、内田英治監督が登壇。草なぎが同作の現場の雰囲気について語った。
同作は、トランスジェンダーとして日々身体と心の葛藤を抱え生きる凪沙(草なぎ)と、親から愛を注がれず生きるもバレエダンサーを夢見る少女・一果(服部)の姿を通して“切なくも美しい現代の愛の形”を描く「ラブストーリー」。新宿のニューハーフショークラブでステージに立つ凪沙は、ある日、ネグレクトを受ける親戚の少女・一果を預かることになる。自らの“性”に葛藤し世間から疎外感を感じながら生きてきた凪沙は、自分と同じく孤独に生きてきた一果の苦悩と向き合い、彼女の才能に気付き応援するうちに愛を知り、初めて「母になりたい」と願うようになる。
トランスジェンダーの“母親”という難役に挑戦した草なぎだが、「今までで一番考えないでできました」と言い、「難しい役なのですごく考えないと普通はできないと思うんですけど、何も考えないでできたというのが初めての経験で、それは監督に引っ張っていただいというのが大きいのですけど、隣に樹咲ちゃんとあさみさんがいてくれて。映画は一人で作るものではないので、それを実感させていただいた。みんなで一つの方向に向かっていると奇跡が起きるんだなと思います」と、監督やスタッフ、共演者に感謝した。
同作で女優デビューとなった服部も、「小さい頃からずっと続けてたバレエでこの映画に貢献できて本当に良かったです。ただ演技が未経験だったので、いっぱい内田監督と練習しました。不安だったシーンがいっぱいあったのですけど、試写で観たら、草なぎさんや水川さんにたくさん助けられていました。ありとうございます」と感謝。草なぎは「みんなで支え合っていた。そうじゃないと皆さん演じきれなかった」と振り返った。
現場の雰囲気は草なぎに言わせると「スムーズでイマドキ」だったとのこと。「映画の世界って職人の方が多いから、怒号が飛び交うこともあるんですけど、今回はそういうのが一切ない。監督にそういう方針があったみたいです。穏やかな現場でした。映画の中では罵声を浴びているんですけど、カメラが回ってないとこはスムーズで今っぽい(穏やかさ))」と説明し、服部も水川も同意。そして、草なぎが「皆さん、品のある方が集合されていた。品が大事ですから…今は。今でしょ!…古い?これ?」と、林修の決め台詞を交えながら続けると、水川は「古い!かなり古い!」とツッコんでいた。
なお、草なぎは一果の実の母親役を演じた水川の迫力のある演技を「お互い違う立場の母親。本当はどちらも一果が好きなんですけど(表現の仕方が違う)。それをあさみちゃんが見事に演じてくれました。(水川の演技が)怖かったです。すごい、あさみちゃんがこんな怖いんだって(笑)」と絶賛。内田監督も「この3人の関係性を観て欲しい。水川さん演じていた母親も、(ネグレクト傾向はあっても)愛情はある母親でしたし、凪沙も愛情ある母親だし、それでいての微妙な関係性。皆さん演技じゃなかった。それをぜひ見て欲しいなと思います」と、3人の演技を称えていた。
テキスト:堤茜子
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