光り輝くネオン街。日本を代表する繁華街のように見えるが、具体的にどこかとは言えない街だ。
実はここ、中国・広東省にあるショッピングモールの一角。日本の繁華街を模して改造されたモールの通路には、たくさんの見慣れた日本語が並んでいる。日本でよく見かける道路標識に、真っ赤なポストには「日本郵便」の文字。バスの停留所の標識には「都営バス」と書かれ、路線図は六本木ヒルズ、六本木駅など忠実に再現している。
ほぼ完全なコピーをしている一方で、日本人としてはしっくりこない部分も。日本のタクシーらしきものを見てみると、ナンバーは鈴鹿だが、側面には世田谷の文字と「I LOVE TOKYO」のロゴ。ドアを開けてみると、左ハンドルだ。さらに、停車しているバイクは存在しない東京ナンバーだった。
日本人からすると違和感のある日本風の街だが、そんなことはお構いなし。日本にいるかのような雰囲気を楽しむ人たちがいた。日本にありそうな電話ボックスで、電話をかけるポーズをとってお互いに写真撮影している女性たち。また、この街で目立っていたのが、制服を着て女子高生の姿で写真を撮影する人たちだ。中には、懐かしのコギャルを思い起こさせるルーズソックスに金髪姿の人も。
日本に関心があるのか話を聞いてみると、「行ったことはない」「アニメやドラマは見ない」「日本は好きじゃない」という回答。その目的はあくまでも“SNS映え”のためだった。
観光スポットとして盛り上がりを見せているこの“日本風の街”だが、営業している店舗は一割程度で、中国系のレストランやコンビニばかりだということだ。
実際に訪れたテレビ朝日・中国総局長の千々岩森生氏は、「ショッピングモールの中にあって、要は客寄せパンダという形で作ったものだと思う。本当は7月、8月にオープンしたかったそうだが、コロナで改築が遅れ、今月オープンしたばかり。日本文化は今中国に普通に溶け込んでいるので、“みんなが知っているような映像が形になった”と、夜は若い女性グループが写真を撮るためだけに集まってくる」と説明する。
一方、完成度については、「高いところはかなり高く感じた。入り口の雰囲気も歌舞伎町らしさを感じたし、タクシー自体に突っ込みどころはあったが、コインパーキングを模した場所に停まっていて、そうした場所は細かく作られていることは確か。だからこそみんな集まってきている」と語った。
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