原作 綿矢りさ、監督・脚本 大九明子という『勝手にふるえてろ』コンビが再タッグ。のんと林遣都が共演する映画『私をくいとめて』が12月18日(金)より全国公開。この度、同作が第33回東京国際映画祭の「TOKYOプレミア2020」部門に出品されることが決定。出演者ののんと監督の大九明子からコメントが到着した。
快適なおひとりさまライフに慣れ過ぎて、脳内に優秀な(?)相談役“A”が誕生した主人公=みつ子、31歳。会社ではちょっと変わり者だけど気の合う先輩に恵まれ、長らく彼氏は不在でも充実のソロ活を無理なくエンジョイ。居心地のいい自分だけの部屋に帰れば、ムダにいい声のAとの会話に忙しい。何かが足りないのは分かっているけど、決定的に不足しているものもない。
そんなみつ子のゆるゆるとした日常に突如舞い降りた、久々の恋! 相手は真面目過ぎるくらい真面目な年下の営業マン=多田くん。でも20代の頃のようには進まない、30歳を超えた女のもどかしい現実が立ちはだかり……。
31歳のおひとりさま・みつ子に扮するのは、劇場アニメ『この世界の片隅に』(16)で主人公・すず役の声優を務め、500万回以上再生された映画製作ドキュメンタリーYouTube Originals「のんたれ(I AM NON)」では『おちをつけなんせ』(19)の脚本・監督・編集・主演他を務めるなど、活動の幅を広げる女優・創作あーちすと のん。みつ子が恋する年下男子・多田くん役には、連続テレビ小説 「スカーレット」(19)、CX「世界は3で出来ている」(20)、この秋放送される「姉ちゃんの恋人」(カンテレ・CX)など話題作への出演が絶えず、本年はさらに映画『護られなかった者たちへ』、来年は『恋する寄生虫』、『犬部!』と公開待機作が控え、今最も注目を集める実力派俳優・林遣都が演じる。
さらに臼田あさ美、若林拓也、片桐はいりといった大九ワールド全開の個性的な役者陣も集結!令和を生き抜く女子達に容赦なく突き刺さる、わかりみが深すぎる崖っぷちのロマンスを彩る。
第33回東京国際映画祭に出品
10月31日(土)~11月9日(月)まで開催される、第33回東京国際映画祭。コロナ禍でありつつも、映画作品を劇場の視聴環境で体験してもらうことにこだわり、コロナ感染症対策を徹底しながらリアルな場での実施が決定した。
脳内の相談役と対話しながら物語が進行していく本作に関して、東京国際映画祭シニア・プログラマーの矢田部氏は「実は彼女の悩みや逡巡は我々みんなのものだ。孤独からいかに抜け出すか。『私をくいとめて』が描く、一歩を踏み出す勇気こそ、今年の映画祭のテーマなのだと思わずにいられない。」と評す。
今回招待が決定した部門は「TOKYOプレミア2020」と銘打たれたショーケースの部門。従来の「日本映画スプラッシュ」、「アジアの未来」、「コンペティション部門」が統合された今年限定の部門となる。本部門では、32作品(欧米10、アジア12本、日本10本)の上映を予定しており、同部門の全作品を対象とした「観客賞」が設けられている。『勝手にふるえてろ』では、第30回東京国際映画祭の「コンペティション部門」で一般観客の投票で選ばれる観客賞を受賞しており、本作での二度目の受賞に期待がかかる。なお、観客賞は11月9日(月)に行われるクロージングセレモニーにて発表予定だ。
本映画祭への参加に関して、大九監督、のんは「特別な一年の特別な映画祭に選んでいただき、大変光栄です。部屋から一歩踏み出して、東京国際映画祭に参加することが、心底楽しみです! 」(大九監督)、「東京国際映画祭への出品、とても嬉しく思います。そして、今年も映画祭が開催されるんだという喜びを大きく感じています。」(のん)とそれぞれコメントを寄せている。
大九明子監督 コメント
特別な一年の特別な映画祭に選んでいただき、大変光栄です。
「私をくいとめて」は、撮影中断を経てようやく生み出されました。私は、人に怯え、人との距離感を計りながら生きる人間を好んで描いて来たけれど、ウィルスに距離を取らされるのは不本意です。ステイだのゴーだの指図を受けるのも。映画作りや、劇場で映画を観る体験が、命を脅かすことになるなんて辛い。私の人生にはそれらが欠かせないのです。部屋から一歩踏み出して、東京国際映画祭に参加することが、心底楽しみです!
のん コメント
東京国際映画祭への出品、とても嬉しく思います。
そして、今年も映画祭が開催されるんだという喜びを大きく感じています。
映画は、観た人の人生に関わるもの。
その映画を観た事は目や耳から頭の中に入ってその人の思い出として刻まれる。
この作品でみつ子を演じたのは、私の中でとても大切なものとなりました。
みつ子さんや多田君やAが、ちょっとでも観てくださる方の人生に関われたら嬉しいなと、今から楽しみにしています。
矢田部吉彦/シニア・プログラマー/東京国際映画祭 コメント
人は常に自分と対話しながら生きている。それが行き過ぎると、閉じこもってしまう。そんな深刻な状況をユーモア交りに描かせたら、大九監督は抜群に上手い。
そして主人公に対する感情移入への誘いが巧みだ。
のんさんの魅力があまりに眩いため、自分と重ねるのは憚られるけれども、実は彼女の悩みや逡巡は我々みんなのものだ。
孤独からいかに抜け出すか。『私をくいとめて』が描く、一歩を踏み出す勇気こそ、今年の映画祭のテーマなのだと思わずにいられない。
(c)2020「私をくいとめて」製作委員会