ピンク色の髪の毛と聞いて真っ先に連想されるのは、お笑いコンビ『EXIT』のかねちーこと兼近大樹だろう。
りんたろー。とのコンビは第七世代のなかでも、見た目のチャラさと言葉遊びを用いたオチがある古典的漫才のギャップで、中高生から絶大な人気を誇る。今最も勢いがあるお笑い芸人だ。
そんなかねちーを知ってか知らずか、ド派手なピンク色に髪の毛を染め上げたスポーツ選手がいる。それも40歳の大ベテラン。その独特すぎるキャラクターに迫る。
■「派手な技より、技術が高い方が大事」
彼の名前は完山徹一。立川・府中アスレティックFCでプレーするフットサル選手だ。
これまでも緑や青、銀など様々な色に髪を染め上げて周囲を驚かせてきた。さらに元フットサル日本代表であり現在はABEMAで解説を務める北原亘氏によると、その奇抜さは髪型だけにとどまらない。
『袴パンツを履いて現れて他の選手を驚かせた』との逸話があるように、衣装も独特なものを好む傾向にあるようで、オブラートに包んで言えば「オシャレ番長」。
また実況を務める福田悠氏は、完山の破天荒さを親しみを込めて「ハイスタ(Hi-Standard)のような、古き良き日本のメロコアバンドのベーシスト」と例える。
北原氏と福田氏の話を総合すると、つまりは『変わり者』というわけだ。
そんな見た目の派手さが注目されがちな完山は、Fリーグが開幕した初年度からプレーする数少ない選手の1人。開幕から5シーズンは、あの絶対王者・名古屋オーシャンズの一員としてリーグ優勝を経験している。
現在、所属する立川・府中では、類まれなパスセンスとベテランらしい戦況を見極めたプレーでチームを支る。しかし完山の一番の特徴はなんと言っても基礎技術の高さだろう。
元々は地元である鳥取の奥山蹴球雑技に所属しており、徹底的に足技の技術を磨いてきた。チームメイトである酒井遼太郎のTwitterでは、そんな完山の技術の高さが垣間見れる。
足の様々な部分で感触を確かめるようにリフティングを行う。寸分狂わずインステップ、インサイド、アウトサイドでのリフティングを何度も繰り返すのだ。一見すると派手さはないが、その再現性の高さに驚きを隠せない。
そして大ベテランはこう言うのだ。
「派手な技より、技術が高い方が大事だろ」
まさに『お後がヒアウィゴー!』である。
文・川嶋正隆(SAL編集部)
写真/高橋学