5日発表された、ノーベル生理学・医学賞。受賞が決まったのは、アメリカ国立衛生研究所の名誉研究員、ハーベイ・オルター氏ら3人で、受賞理由は「C型肝炎ウイルスの発見」だった。3人の研究により肝硬変や肝臓がんを引き起こす血液性の肝炎の原因が突き止められ、血液検査や新薬の開発が可能となり、多くの人の命を救ったことが評価された。
【映像】扉を開けると通路全体が水槽に! 小学校にある本格的すぎる水族館(2分55秒ごろ~)
いよいよ始まった今年のノーベルウィーク。果たして3年連続の日本人の受賞はあるのか。期待が集まる中、まさにノーベル賞を視野に入れた小学校がある。
ニュース番組「ABEMAヒルズ」では、教育方針にノーベル賞を視野に入れている埼玉県さいたま市にある私立・さとえ学園小学校を取材。学校の公式Webサイトを覗いてみると「ノーベル賞を目指します」と大きく掲げられていた。外観は普通の学校に見えるか、一体どのような学校なのか。
「2代前の学校長がさまざまな教育活動を行っている中で、その先にあるものは何かと。『子どもたちの夢、目指すものとしてノーベル賞を目指すという、それくらいの気概を持って勉強を進めるべきではないか』という呼びかけであり、アピールだった。我々としてもその後の教育活動の中で、言葉としてとてもいい方向だったので、残している」(小野田正範校長)
建学の精神「人間是宝」を軸に、子どもたちの可能性を見つけて伸ばしてあげたいという思いで、特色ある教育活動を展開しているさとえ学園。さとえ学園が大切にしているのは「今を懸命生きて懸命に学ぶ」という姿勢だ。今後、さらに変化が著しい時代になることを見据え、どんな状況でもたくましく生き抜けるよう、独自の教育環境を作り上げている。
取材を進める中、校舎の中で見つけたのは、まるで水族館のような水槽だ。海の生き物だけでなく、川の生き物もいるという。何よりバックヤードに入って、餌槍体験や掃除の体験もできるのが特徴だ。
そのほか、1年生から始まる授業は外国人の先生も担当し、全て英語で行われる。こうした充実した施設と教育方針で最終的に目指すのは、日本や世界のリーダーとして活躍できる「主体性」を持った人材を育てることだという。
「ビジョンとしては子どもたちが主体的に考え、工夫して難題を突破する力、あるいは人に尽くす力を備えた本当のリーダーになってほしいというのが我々の願い。しかし、今年は学校教育を揺るがす事態が起きました。新型コロナウイルスの蔓延です。それでも、さとえ学園は授業や教員同士のコミュニケーションが滞らないよう、オンラインを駆使した取り組みを実践しました」(小野田正範校長)
さとえ学園の教育方針に「ABEMAヒルズ」のコメンテーターでBuzzFeed Japan記者の神庭亮介氏は「学校に水族館やプラネタリウムまであり、教育環境が非常に充実している。ICT教育にも力を入れており、将来的にこの学校から優秀な人材が生まれるかもしれない」とコメント。その上で、日本の研究開発費用について、こう警鐘を鳴らす。
「ノーベル賞を受賞するような人材が育っていったとして、日本国内に“受け皿”となる大学や研究機関があるのかどうかが問題。優秀な人材が『ここで研究したい』と思えるゴール地点を用意できるのか。この10年、日本の研究開発費はほとんど伸びていない。そこが今後の課題になってくる」
文部科学省の科学技術・学術政策研究所が発表した「科学技術指標2020」から「研究開発費総額の推移」を見てみると、確かに日本の研究開発費は横ばいで、あまり伸びていない。一方、アメリカや中国の伸びは大きく、韓国も上昇傾向になっている。
「“ノーベル賞はとってほしいが、お金は出さない”は虫が良すぎる。小学校の段階でノーベル賞を視野に入れた教育を施すことはもちろん大事だが、彼らが優秀であればあるほど『自分の才能を活かせるところ、存分に研究できるところはどこだろう』と考えるはず。現状であれば『じゃあ、アメリカや中国に行こう』と海外へ流出していってしまうだろう」
「小さなパイを競争で奪い合うのではなく、研究費や教育費への投資を増やし、パイ自体を広げていかないといけない。今、多数の日本人がノーベル賞を受賞しているのは、過去に投資してきた分の“遺産”があるから。研究費が絞られているなかで、この先も同じように日本がノーベル賞受賞者を輩出できるかは不透明だ」
(ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)
この記事の画像一覧







