日本学術会議が推薦した6人の会員候補の任命を菅義偉総理が拒否した問題で、会員の任命やその在り方が議論になっている中、東京工業大学准教授の西田亮介氏のツイートが話題になっている。
西田氏は5日、Twitterで「なんで、いま、みんな日本学術会議に関心を持っているの?新政権のツッコミどころだからというだけでしょう。もともとほとんど関係ないうえに興味もなかったじゃない。ぼくだってそうで、たぶん1、2回ほど部会のシンポジウムかなにかで話したことあるけれど、はっきり言えば関係ない」と投稿。
このツイートにTwitter上では、「日本学術会議というより、恣意的な人事を行った菅内閣に関心がある」「弾圧の初めの一歩になるといや」「新政権へのツッコミなんてお笑いではない」などの声があがり、炎上した。『ABEMAヒルズ』では、ツイートの真意について西田氏に話を聞いた。
「僕はヒラの研究者だが、日本学術会議と具体的に関係があるかというと、やはりない。学術会議は科学者を代表すると法律に書かれてはいるが、会員が次の会員を選んでいく仕組みで一般の研究者には選挙権もないし、何か研究費などをもらっているわけでもない。学術会議自体も研究機関ではない。したがって学問の自由の実質ともそれほど関係はないのではないか。これまでに学術会議が主催するシンポジウムで1、2回話したことがあるが、そのこともやはり僕個人の研究の自由と関係するわけでもない」
ツイートの意図は字句通りだと説明する西田氏。西田氏は3日、この問題について「政府の重要政策に賛成しない場合に、研究者として名誉な場である学術会議に参加できないということだと、間接的にプレッシャーを与える可能性がある」と政権の決定が及ぼす影響に懸念を示している。その上で、大学の現状として次のように付け加える。
「我々は直接には大学で研究をするわけだが、過去20年にわたって様々な政治からの介入があり、大学を含む高等教育政策の変更があった。わかりやすいところだと、国立大学の予算(運営費交付金)を年間1%ずつカットしていくとか、研究者の業績を毎年細かく提出させてチェックし給与と連動する、教授会自治を学長直下に変えていく等々の仕組みの導入があった。これらの仕組みの私立大学への応用など、様々な形で学問の自由を制限するような政治介入が行われている。もし今回のようなことで学問の自由が死ぬのであれば、“我々はもう死んでいる”と言わざるを得ない。言い方を変えると、学術会議の任命権の有り様を変更したぐらいで学問の自由は死なないと、ある種の空元気を強調したい部分もある」
Twitter上での様々な批判に対して、「皆さんも好きに論じていただき、僕もまた好きなことを呟くということでいいのではないか。表現の自由が認められているというのは、とても良いことだ」と西田氏。炎上に乗じた“偽情報”に対しては「否定すべき」とした上で、「普段から政権に賛成する・反対するということを超えて、高等教育や学問の自由の具体的問題にももっと関心を持ってほしい」と訴えた。
(ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)
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