「うちはママとママの家庭なんだよ」相続など、法制度の課題も…同性カップルの夢、日本でどう叶える?(後編)
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 宿題をする7歳の勇太くん(仮名)を見守る信子さん(34)。2人に血の繋がりはない。信子さんは、勇太くんを産んだエリカさん(32歳)とのレズビアンカップルだ。

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 7年前、別の女性パートナーと交際・同居していたエリカさんは知人男性から精子提供を受け、勇太くんを出産した。信子さんとは、その女性との破局後に知り合い、交際をスタートした。そして、勇太くんが4歳の時から3人で生活している。

 「大変だったり、ついていけないこともたくさんあるが、その中に“宝物”みたいなエピソードが転がっているのが子育てなのかなと。それは男女のカップルと変わらないと思うし、女性同士だからすごく困るみたいなところ、あまりない」と話す信子さん。実は海外の精子バンクを利用して妊娠6カ月だ。「今が一番幸せなんだろうなって思えるくらい、自分が望んでいたものが何もかも家の中にあるような感じがする」。

 勇太くんも「信さんは一緒にゲームできるし、ママは暇な時にギューギューできるし」。エリカさんも、「息子が生まれた7年前に比べて、LGBTを取り巻く環境は劇的に変わってきている」と話す。

 「“周りのおうちはママとパパが多いけれども、うちはママとママなんだよ”ということを小さいときから教えてきた。そうすることで、“自分のおうちはね、ママとママがいてね”と説明ができているし、自分のアイデンティティを偽ることなく生活ができていると感じる。もちろん、保育園ではお友達から“なんで?なんで?”と聞かれることもあった。それでも“色んなおうちがあるんだよ”と伝えていくことで、卒園するときには、周りのお友達みんなが認めてくれていた。“女の子同士でも男の子同士でも結婚できるんだよ”と言っていた友達もいた。ママ友だけでなく、パパたちも理解してくださっていて、すごくサポーティブ。差別的な言葉や偏見の言葉を向けられたことは今まで一度もない。本当に恵まれた環境にあるなと思うし、息子の力でもあると思う。オープンにしてきて良かった」。

 それでも、理解が社会に広がるまでには、もう少し時間がかかると感じている。

「うちはママとママの家庭なんだよ」相続など、法制度の課題も…同性カップルの夢、日本でどう叶える?(後編)

 エリカさんは「保活をしていた時期や保育園に入れた後、ママが2人ということは他の保護者には伏せておいて欲しいと言われ、悲しい気持ちになったこともある」と明かす。

 また、勇太くんのこれからを考えると、男性の存在も必要だと感じているようだ。「シングルマザーの方々も同じ問題を抱えていると思うが、男性の体の変化についてのちょっとした質問にすぐ答えてあげられないこともあるだろうと思う。おじいちゃんとの関係性を大事にしたり、男友達に聞いたりすることはもちろんだが、息子をとりまくコミュニティの中に男性の存在がいてもらいたいなと思う」(信子さん)。

 逆に、男性同士のカップルの場合について、LGBTQの妊活や子育てを支援している「こどまっぷ」の長村さと子代表理事は「パパとパパという家庭の事例が少なく、可視化されていない部分はある。加えて、代理母出産など、様々な課題がある方法でしかお子さんを授かることができないということもある。お子さんが欲しい男性同士のカップルからは、そういう不安をよく聞く」と話す。

 さらに法律上、1つの家に2世帯が住んでいるだけの関係と見なされるため、行政上の手続きや相続の問題など、生活をしていく上では様々な不自由も生じる。

 「住宅ローンや携帯代の引き落としなど、大企業を中心に、男女の夫婦と同じように扱う運用に変わってきている。ただ、男女で名字が同じであれば電話でもできそうな手続きが、“パートナーシップ証明を持って2人で店舗に来てください”と言われることもある。そういう点では、男女の夫婦よりはスムーズにいかず、時間がかかってしまう部分がある」(信子さん)。

 LGBT問題に詳しいなんもり法律事務所の南和行弁護士によれば、「そもそも日本の婚姻制度は同性婚を想定していないため、同性カップルの家族は法律上の保護がない」という。

 相続もその一例だ。パートナーが死亡した場合も、遺言があれば一方と親子関係にある子どもに財産を相続することは可能だが、法律上の親族関係のない他人に対する遺贈とみなされるため、通常よりも相続税の負担は重くなるという。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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