「サンバのリズムを知ってるかい?」フットサルの試合でブラジル人が見せたダンシング・ヒールパスが“笑撃”レベル
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「サンバのリズムを知ってるかい?」

 ココリコ遠藤章造が生み出した渾身のお茶の間ギャグに説明は不要だろう。ホホホイ、ホホホイ、ホホホイ、ホイという謎の掛け声とキレ味鋭いダンスで、見る者を釘付けにしてしまう。そんな世代を超えて愛されるギャグを、まさかフットサルの試合会場、しかもピッチ内で見られるとは……。

【映像】もはや笑撃! ダンシング・ヒールパス

 もちろん、選手がギャグを繰り出したわけではない。踊るようなプレーが、まさにそれだったのだ。名古屋オーシャンズで大活躍するブラジル人・ペピータ。彼は母国の国民音楽のリズムを感じさせるボールタッチと動きで相手を翻弄して、チームメートのゴールをお膳立てしてみせたのだ。

■対戦相手も笑うしかないくらいの衝撃レベル

「うまい! なんだこれは?」

 元日本代表で試合を解説した北原亘氏も、そのプレーを説明する的確な表現が見つからない。その動きを、かろうじて言葉でトレースするならこうだ。

 左サイドの深い位置からのパスを、ゴール正面のペナルティエリア付近で受けると、彼の脅威を感じた相手選手が、右後方と正面から同時にスライディングでボールを奪いにくる。するとペピータは左足でボールを引き、軸足の裏にボールを通して右へと方向転換。さらに、正面に立ちはだかる相手と対峙すると、今度はまるでダンスするかのようなステップワークでボールを扱い、回転しながら相手に体を寄せて注意を引きつけ、左足のヒールで右サイド前方のスペースへとパスを繰り出した。これを受けた安藤良平がゴール方向へシュート性のパスを出し、ファーで吉川智貴が合わせて、あっという間にゴールを奪ってしまった。

「ゴール前であれだけ囲まれていてあのプレーを選択できるのはすごいですね……」

 北原氏も思わずそう口にする。本来、ペピータの持ち味は、ゴールへと突進していくようなアグレッシブさと強烈なシュートだ。しかし、今回の一連のプレーは、豪快さよりもむしろリズミカル&テクニカルな繊細なプレーだった。屈強な守備がそろう昨シーズン2位のバサジィ大分を相手に華麗なプレーを披露したのだ。

 ペピータがプレーする名古屋は現在、開幕6連勝中でリーグ4連覇へ突き進んでいるが、日本代表選手が何人も所属し、“絶対王者”と呼ばれるこのチームにあって、ペピータの存在感は群を抜いている。それほどまでに強烈で、繊細で、魅力的なプレーは、すべてのフットボールファンの心をわしづかみする。対戦相手からしても、強度の高い試合中にあんな“ダンシング・ヒールパス”をされたらもはや笑うしかないだろう……。

 ピッチでダンスを踊ってしまう“笑撃”のブラジル人・ペピータ。現在、2年連続MVPへと驀進中だ。

文・舞野隼大(SAL編集部)

写真/高橋学

【映像】もはや笑撃! ダンシング・ヒールパス
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