「iPhoneの新時代の幕開けだ」とAppleのティム・クックCEOが胸を張った「iPhone 12」(全4機種)。その魅力と疑問点について、ITジャーナリストの松村太郎氏に解説してもらった。

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■カメラが充実の「Pro Max」、若者向けの「mini」に注目

 現行モデルのiPhone 11に比べ、耐落下性能が4倍も向上しているというiPhone 12。その理由の一つが、ディスプレイのガラス表面を独自技術で透明度を確保した「ナノセラミッククリスタル」で保護する「セラミックシールド」だ。また、液晶は有機ELに進化した。

 「より細かく明るく、色の再現力が高まった。Proシリーズについてはこれまで通りハイエンドなもので、最も大きなPro Maxはカメラ機能がさらに向上している。非常にクリアに写るし、暗いところにも強い。しかもスマートフォンで初めてドルビービジョンという映画品質の記録ができるようになったので、これ一台で映画クオリティの映像をYouTubeにアップすることができると思う」。

 その上で松村氏が注目するのは「mini」だ。

 「これまでよりも小さな5.4インチだ。世界中で4.7インチのiPhoneが買い替えてもらえていない現状があったので、それよりも小さいけれども画面は大きいという付加価値を付けることで、昔の機種を使っている人たちの買い替えを狙っている。アメリカの若い世代にiPhoneの最新技術やカメラを低めの価格で提供する戦略的な商品がmini。日本でも人気が出るのではないか」とした。

 また、iPhone 12は背面に磁石を内蔵しており、別売りのワイヤレス充電器を正確な位置に装着することで充電スピードが従来(Qi)の2倍になる「MagSafe」が追加された。併せてケースやカード入れも発表されている。

 「充電するだけではなく、本体の裏側にアクセサリーをくっつけられるようになる。iPhoneのケースにはチップが内蔵されていて、装着した瞬間に例えば“緑色のケースをつけられた”と認識し、画面に緑のアニメーションが出るという、凝った演出も盛り込まれていて面白い。磁気でクレジットカードがダメになってしまわないような配慮もされていて、地味に感じられるかもしれないが、なかなかハイテクな仕掛けだ」。

■ACアダプタとイヤホン、ホームボタンが無くなったことへの疑問の声も

 他方、環境への配慮の観点から、同梱されていた充電用のACアダプタとイヤホンが無くなり、USB Type-C-Lightningケーブルのみに変更された。

 松村氏は「買い替えのたびに付いてくるので、イヤホンやアダプターが家に溜まっているという方もいると思うが、電子機器のゴミ“e-waste”の問題で、年に2億台くらいiPhoneを販売しているアップルは矢面に立たされそうになっている。そこっで先手を打って“もう付けない。コンビニでもどこでも売っているから、必要な人は買ってくださいね”ということだ。その効果で箱が30%くらい薄くなるので、輸送時の環境負荷も軽減できるということだ。環境負荷を2030年までにゼロにすると言っているアップルとして、そのため努力を惜しまないという姿勢を見せたのだと思う」と説明。

 「iPadではUSB Type-Cという一般的なポートに変更されていたので、iPhoneも12で変わるんじゃないかと予想されていたが、Lightningが継続されていることになった。その点を残念がっていた方も結構いると思う。ただ、これも環境の観点からの判断だと思うし、Apple Watchはワイヤレス充電で問題ないので、むしろ次の次くらいのiPhoneではケーブルそのものをなくしてしまうのではないか」。

 また、ホームボタンが失われたことについては、「やっぱり指紋認証が無くなったことを残念がっている人は多い。マスクをする生活スタイルに変わってしまったので、顔半分が隠れた状態の顔認証には課題もあると思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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