21日、自民党の二階幹事長と公明党の石井幹事長が東京都内のホテルで会談。ここで問題として挙がったのが、各省庁担当者へのヒアリングの在り方だった。
その理由について、会談に同席した森山国対委員長は「役所によっては、ヒアリングで精神的に非常に負担を感じて、役所を休んだりしなければならないということも起きているように聞いているので、それはやはり我々立法府として考えなければいけないということだと思う」と説明。
各省庁の担当者を国会などに呼んで行うヒアリング。与党はこのヒアリングが負担になっていることを問題視しているのだ。
国会で大臣を追及するように、野党議員が省庁の担当者を問い詰める場面も印象的だ。例えば、19日に行われた「GoToトラベル」に関するヒアリングでは、「負荷がかからないように」と前置きした立憲民主党の原口議員だったが、観光庁担当者の回答に不満があったのか「コミュニケーションが非常に難しい方」と言い放つ場面も。ネットでは「正直これはかなりメンタルにきますよ」「人によりますが、いわゆる『吊し上げ』と感じる人も多いと思います」といった声が上がった。
一方で、与党から見直しの動きが出たことについて、「ヒアリングが行われるのは、政府与党が国会で果たすべき説明責任を果たしていないからだし、そもそも疑惑を持たれ、ヒアリングが必要な杜撰なことをしているのも政府側。それをいくら都合が悪いからと見直しというのは、無責任にもほどがある」などと疑問の声も上がっている。
森山国対委員長は、野党ヒアリングを問題視した見直しなのかという問いに対し、「自民党も公明党もヒアリングを開いているので、どこにどういう問題があるかというのは野党だけの話ではないと思っている」と答えている。
加藤官房長官はこの問題について、会談の内容は承知していないとした上で、「一般論として申し上げれば、各府省に対して与野党からさまざま説明を求められることがある。こうした要請に対しては、政府として真摯に対応することがまず必要。その上で、限られた人員や体制の下でいろいろな業務をやっているわけであり、そうした事情についてもご理解いただきながらご要望いただき対応していきたい」としている。
『ABEMAヒルズ』では、新卒で中央省庁に入ったあと民間企業で働き、現在は元官僚系YouTuberとして活動する「おもち」さんに話を聞いた。おもちさんはヒアリングの見直しについて「ルールを設けるべき」と指摘する。
「見直しの目的については、『官僚がかわいそうだから』ではなくて、どうしたらより建設的な議論が行われるかという観点から行われるべきものだと考えている。2つ目は、あのヒアリング自体はある意味先進的な取り組みだと思っていて、議論の透明化として非公開でやっている方がデメリットが大きいというのと、業務の効率化として多くの人に一気に説明できる。この2つの前提に立つと、あの場を建設的にしていくためのルールが明確ではないので、ルールを設けていくことが求められると考えている」
その具体的なルールについては次のような考えを述べた。
「野党合同ヒアリングはだいたい毎週行われているが、質問が届くのが前日ぐらいになっているので、その期限を3日前にして十分に回答ができる準備を与える。また、中立的なファシリテーターを置くとか、議事録というものを野党側なのか役人側なのかはあるにせよ、作成して公開することでチェックしてもらう仕組みなど、より建設的に進めるためにどうしたらいいかを考えた方がいいと思う」
一方、東京工業大学准教授の西田亮介氏は、野党合同ヒアリングが政府や省庁を監視する役割として重要だとした上で、パフォーマンスとしての側面があることも指摘する。
「資料をバンバン机に叩きつけるような様子もYouTubeに残っているが、例えば我々が学生対応でああいうことをするとよくないということは、毎年受けるハラスメント研修などでも指摘されているように、現代ではあまり良い印象を与えないのではないか。官僚を詰めているというパフォーマンスを見せて、自分たちの役割や存在感を大きく見せたい、支持者にアピールしたいという側面も全くないとは言えないと思うがあまり感心しない。そういった部分を廃して実務的に改善していくことが重要だ」
おもちさんによると、ヒアリングに対応する部署は政府から注目されており、ヒアリングがなくとも終電がなくタクシー帰りになるなど、日々業務に忙殺されているという。西田氏は、ヒアリングのみならず官僚のワークライフバランスを含めた見直しが必要だとした。
「印象と異なるかもしれないが、日本の公務員の数はみなし公務員を含めても諸外国より人口に占める割合が少ないことが指摘されている。そもそもの官僚の人手不足という問題と、働き方改革でもしばしば注目されるようになっている、官僚のワークライフバランスをきちんと改善するということも合わせて考えるべきだ」
(ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)
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