プロ麻雀リーグ「Mリーグ」でプレーする選手から「任せておけば間違いない」とまで信頼される実況者がいる。Mリーグ公式実況を務める3人のうちの1人、小林未沙だ。Mリーグの年間216試合、単純に「3」で割れば72試合ずつだが、小林はMリーグ以外にも多数の麻雀実況をこなし、その数は年間で約263半荘にも及ぶ。局面に素早く反応し、視聴者の欲しい情報を的確に伝えるスキルには周囲も驚きを隠さない。麻雀ニュース番組「熱闘!Mリーグ」では、この小林の多忙な一日に密着した。
麻雀中継のハイライトシーンと言えば、アガリが出るか出ないかといったところ。テンパイした時点で、必要なのは待ち牌、残り枚数、アガリ点数など、状況によってころころ変わるものばかり。それでも小林は瞬時に、かつ初心者にもわかりやすく伝える術を持っている。選手の一人、赤坂ドリブンズの園田賢(最高位戦)も「言葉遣いや間の取り方、どうやってわかりやすく伝えようか、それができるように高いレベルのトレーニングを受けていて、それができる人」と絶賛する。選手からしても自分たちの戦いが正確で、かつ華々しく伝えられることは喜びだ。
小林は元プロ雀士。Mリーガーも多い最高位戦日本プロ麻雀協会で戦っていたが、声優の道を志して引退した。ただ、いつしかその「しゃべる」スキルと麻雀の知識が両方求められる実況の仕事が増えていった。今では試合実況だけでなく、麻雀関連イベントなどでも引っ張りだこだ。
小林のハイレベルなスキルが発揮されるのは、試合前の準備時間から。午後7時過ぎに試合が始まるMリーグでは、4時間前にスタジオ入り。選手の登場シーンを飾る紹介の文章を、毎回当日に作る。出場選手が決まるのが、試合開始わずか数時間前だからだ。第1試合と第2試合の間は、さらに忙しい。CMと勝利者インタビューが行われている間に、試合のハイライトシーンを確認。VTRをチェックする時間の余裕はなく、紹介されるシーンだけ聞いたら、試合中に取っていたメモを頼りにアドリブでコメントする。さらに、その後は第2試合の選手紹介文の作成へ。第2試合の出場選手を知るのは、視聴者と同じく試合開始の数分前。第1試合よりさらに短い時間の中で、試合を盛り上げる文章を作り上げる。
試合が始まれば、毎回異なる解説者とのトークも繰り広げながら、試合のポイントを逃さず実況する。事前の資料作りから生放送まで毎試合、怒涛のスケジュールをこなす過酷な仕事に向き合う理由を聞かれ「やっぱり楽しいなって感じです」と、笑顔で全てを説明した。3シーズン目を迎え、さらなる盛り上がりを期待されるMリーグ。その中継に、やはり小林未沙は欠かせない。
(ABEMA/熱闘!Mリーグより)