対立を解決するために必要なのは対話だ。本音をぶつけ合ってはじめて和解への扉は開かれる。SNS時代の女子高生たちが“性”の悩みや疑問に真正面からぶつかっていくABEMAオリジナルの連続ドラマ『17.3 about a sex』が、ついに最終回を迎えた。ラストを飾るテーマは性教育を通した親子の成長。サブタイトルもズバリ「ウチら、もう"何も知らない"って歳じゃない」だ。
咲良(永瀬莉子)は、性の問題に対して異様に潔癖な母・亜紀(藤原紀香)に、恋人・悠(水沢林太郎)から「お守り」としてプレゼントされたコンドームを見つけられてしまう。恋人ができたことに対しても問い詰められた咲良は、自分をどこまでも子供扱いする支配的な空気に耐え切れずに家を飛び出す。
その翌日、母・亜紀が学校を訪れ、恋人の悠(水沢林太郎)と接触。放課後に会う約束をする。それを知った咲良は、母親が悠を傷つけるのではないかと不安に陥る。ところが亜紀は悠に対して、咲良の家出の原因は自分にも非があると謝罪。そして誠実な悠に対して娘との交際を認める。だが「高校生らしいお付き合いの仕方ってあるわよね?」と性行為をするべきではないと念押しする。
ついに咲良は「お母さんとちゃんと話したいセックス のこと」と切り出し、母に対してセックスについての疑問や自分なりの思いをぶつける。コンドームは悠と二人で考えた上での「お守り」であり、セックスについても真面目に考えていることを伝える。思ってもいなかった娘の真摯な言葉に、亜紀は驚くと同時に反省。取り上げていたコンドームを返し、自身の辛かった思春期を回想する。母親に恋愛やセックスについての相談が出来ずに不安にさいなまれていたこと。咲良にはそんな苦しい思いをさせたくなかったことを。
亜紀は娘の立派な成長を認め、母親としても逃げないことを誓う。そして「一つだけ約束してくれる?嫌なことや困ったことがあったらいつでも相談して。わからないことがあったら遠慮なく相談して。お母さん、もう逃げたりしないから」と味方であることを伝える。嬉しさのあまり抱き着く咲良。「ありがとう」「お母さんこそ、ありがとう」。泣き笑いのふたり。
潔癖に見えた亜紀の態度だが、その根底には娘を思う気持ちがあった。亜紀のように「子どもには私と同じ思いをさせないって思っていたのに…」と、ついつい年頃の娘を子ども扱いし、子供の性を過剰にタブー視してしまう親は結構存在する。
しかし今回のエピソードでも描かれているように、大切なのは対話だ。親は娘の成長と意見にしっかりと目と耳を傾け、子供は「マジうざい」と思わずに親の気持ちをしっかりと受け止める。真っ向から意見し、納得のいく答えを親子で導き出す。その先に待つのは相互理解という成長。親目線でも子供目線でも共感できる普遍的最終回は、まさに有終の美だ。