日本にとってはトランプ大統領の方がいい? バイデン候補優勢が伝えられる米大統領選、注目ポイントをおさらい
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 来月3日の投票日まで残りわずかとなったアメリカ大統領選挙。トランプ大統領は自らがリードしていると主張する中、現地メディアからはバイデン氏の優勢が伝えられている。

 29日の『ABEMA Prime』では、菅総理と面会、大統領選挙の情勢について説明したという早稲田大学招聘研究員の渡瀬裕哉氏に話を聞いた。

・【映像】渡瀬裕哉氏に聞く、米大統領選の行方

■世論調査だけでは結果が予測できない理由

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 最新情勢の分析の前に、まず大統領選挙の仕組みをおさらいしておこう。4年毎に実施される投票日は「11月の第1月曜日の翌日の火曜日」と定められている。これはかつてキリスト教における安息日(日曜日)を避け、翌日(月曜日)は投票所までの移動日に充てられるようにしていた名残だという。

 また、大統領選挙は直接選挙だと思われがちだが、形式的には間接選挙となっており、有権者(18歳以上のアメリカ国民)は、支持する大統領候補を表明している選挙人に対して投票を行う。538人の選挙人の枠は50州とワシントン特別区に割り振られており、その過半数にあたる270人を獲得した方が勝ちとなる(51のうち2州は別方式)。

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 そのため各種世論調査と実際の投票結果にズレが生じることがあり、前回(2016年)の大統領選挙でも総得票数で見ればヒラリー・クリントン氏は6585万3514票で51.1%、トランプ氏が6298万4828票で48.9%という結果となっていたが獲得選挙人数で見ればクリントン氏が227人だったのに対し、トランプ氏は304人と大きくリードした。

 「アメリカ大統領選挙は総得票数がどんなに多くても勝てないことがある。51の選挙区ごとに勝った人が総取りするゲームだ。そのため全米の支持率というよりは競っている州やスイング・ステート(選挙ごとに情勢が変化する州)の調査が大事になってくる。前回、ヒラリーさんは都市部のニューヨークやカリフォルニアで人気だったが、田舎の方では負けてしまった。そのため民主党、ヒラリーさん営は選挙制度を変えるよう訴えたが、伝統を重視する共和党に反対された」(渡瀬氏)。

■コロナが誤算…「やはりトランプさんは苦しい」

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 また、勝敗のポイントを握るとされているのが「期日前投票」だ。アメリカでは投票所に行くだけでなく、投票用紙を郵送する方法も導入されていることから、バイデン氏と民主党はコロナ禍であることを踏まえ、郵便による投票を呼びかけてきた。しかしトランプ大統領は「集計に時間がかかり、その間に不正が起こり得る」と指摘、警戒感を示している。

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 こうした事情を踏まえた上で最新の各種世論調査を見てみると、いずれもバイデン氏がトランプ氏を10~12ポイント程度リードしており、渡瀬氏も「4年前はトランプさんがギリギリ勝てると見ていたが、現時点ではバイデンがちょっと有利だと思う」と分析する。

 「バイデンさんは“可もなく不可もなく”みたいな人物なので、今回は“トランプさんでいいのか?”という、いわば信任投票のような選挙になっている。トランプさんを好きな人はトランプさんに投票するだろうし、トランプさんが嫌だという人はバイデンさんに投票する。実は前回もヒラリーが嫌いだからという理由でトランプさんに投票した人が多かった」(渡瀬氏)。

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 ここで紗倉まなが「トランプ氏は暴言も目立つ印象だが、支持しているのはどういう人たちなのか」と尋ねると、渡瀬氏は「税金を下げたり、仕事を作ったりすることで景気を良くしてくれた、キリスト教を大事にする政策も実行してくれた、というのが支持の理由で、言動はほとんど気にならない。イメージとしては中小企業のおじちゃんとか、熱心に礼拝に行っている人たちだ。その意味では有色人種からの期待もあった」と説明。

 その上で「ところがコロナによって景気がダメになっちゃったというのが誤算、失敗のポイントだ。共和党に入れることの多い高齢者たちの間にも、バイデンさんの方がコロナ対策をちゃんとしてくれるのではないかという雰囲気がある。前回は“隠れトランプ”がいたが、実はあまり多くはなく全体に影響を与えるというほどでのものではない。逆に今回は“隠れバイデン“もいて、態度を決めかねている人たちの反応も互角だ。バイデンさんにはスキャンダルも出ていたが、やはりトランプさんは苦しいと思う。共和党支持者は当日に投票する人が多いので、トランプ大統領の各得票数が多くなると思うが、民主党支持者が多い郵便投票が開票されていくとバイデンさんが上回り…という展開になる可能性が高い」との見方を示した。

■「日本にとってはトランプさんの方がいい」

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 では、仮に“バイデン大統領”が誕生した場合、どのようなことが予想されるのだろうか。

 渡瀬氏は「バイデンさん、民主党がやりたいのは環境政策だ。CO2をバンバン出すのをやめさせ、太陽光などを推進する。また、社会保障費などを伸ばすので軍事費は減るだろうし、増税もする。そうなれば、トランプさんの言うように、アメリカの景気は多少悪くなると思う。だから荒れる人も多少は出るだろう。そして、日本にとってはトランプさんの方がいい。トランプさんは雑だが、ジャイアンみたいな存在で、いざとなったら守ってくれる。反対にバイデンさんは出木杉くんみたいなイメージで、口では日本を守ってあげるよと言っても実際は…ということになるかもしれない。北朝鮮に対しても話し合いでどうにかしたいということだと思うが、それが相手なのかという問題がある」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

渡瀬裕哉氏に聞く、米大統領選の行方
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