BACKSTAGE TALK #1 DJ RYOW & ¥ELLOW BUCKS
AbemaMix出演の合間に、HIPHOPライター 渡辺志保氏がアーティストにインタビューを実施!
ココでしか聞けないBACKSTAGE TALKをお届けします!
―それぞれ、これまでに何度もコラボを経てきた間柄ではあると思うのですが、改めて“DJ RYOW & ¥ELLOW BUCKS”という名義で楽曲を発表したのは何故ですか?
DJ RYOW:ぶっちゃけノリかもね、リアルに。
¥ELLOW BUCKS:元々、DJ RYOWさんとの曲をリリースしたいっていう話は結構前からあって。今年の初めくらいですかね?「GAMBLE」なんて2020年に入って一番最初に作った曲ですもんね。
DJ RYOW:そうそう。BUCKSはアルバムも同時進行だったけど、最近、デビュー・アルバムの『Jungle』も出たから、今が一番いいタイミングなのかなって。
【映像】DJ RYOW & ¥ELLOW BUCKS AbemaMix ライブパフォーマンス
―RYOWさんから見て、『Jungle』はどんなアルバムだと感じました?
DJ RYOW:BUCKSっぽい楽曲が多くて、それがいい感じだと思ったね。俺らがビートを提供した「Balls Out (feat. MIYACHI & Shurkn Pap)」は、特にその印象が強い。ファースト・アルバムが出る時って、今までとガラッと光景が変わるタイミングでもあると思うけど、BUCKSの場合は、本当にそれが実現していたからやっぱりすごいな、と。
―BUCKSさん的に、実際、アルバム発表後の変化は感じていますか?
¥ELLOW BUCKS:めちゃくちゃ感じていますね。まず、ライブに来るお客さんの量が違う。大阪のThe Pinkでライブをやった時は、一瞬で入場制限になったくらいで、マジで人の上を歩けそうでしたもん。AK-69さんのアルバム『LIVE : live』に入ってる「Bussin’」に客演で呼んでもらって、それからリリースされた自分のファースト・アルバムなんで、すごくいい波が作れたと思います。
DJ RYOW:元々、「Bussin’」もAK君に「こういう曲、おもしろいんじゃない?」ってビートを渡して、「AK君のアルバムからの一曲目は絶対にこれがいい」って伝えたんだよね。その後、MVも俺ら周りで制作して、その後にはBUCKSのアルバムが出て、とストーリーが繋がっていった。あの時は、「こうなったらいいね」って言いながら名古屋のヒップホップのパズルを勝手に組んで、すげえヒップホップ・ゲームをしとる感じがしたね。両A面シングルのリリースもその流れの一部。ぶっちゃけ、実は10月に名古屋のダイヤモンドホールを取っていて、そこで『Jungle』のリリース・イベントをでっかくやる予定だった。でも、コロナで無くなってしまって。
¥ELLOW BUCKS:(ダイヤモンドホールの)予約の仕方もすごくて(笑)。俺とRYOWさんがコメダでミーティングをしていて、イベントの話になった時にRYOWさんが携帯を取り出して、すぐに「10月押さえたで」って。「まじか?」って思いましたもん。
DJ RYOW:俺ははっきりイケると思ってたから。チケットもソールドアウトさせたいと思ってた。
―RYOWさんから見て、BUCKSさんの「ココがヤバイ」ってポイントはどこでしょうか?
DJ RYOW:ラップがヤバいのはすでに分かってることだけど、BUCKSは、そのスピード感がすごくて、キャッチボールがとにかく速い。2ヶ月くらいあったら、多分アルバム1枚分くらいの曲が作れそう。
―BUCKSさんから見たRYOWさんは?
¥ELLOW BUCKS:仕事が早いのと、あと、スマートなところがすごいですね、やっぱり。ずっとラップゲームをやってるんで、何が正しいのかを分かってるし、ちゃんとかっこいい見せ方を知ってる。いい意味で“先輩のプレッシャーの使い方のプロ”みたいな。
ーその表現、すごくいいですね(笑)。
¥ELLOW BUCKS:RYOWさんと喋ってると目標ができるし、自分が目指すべきポイントを作ってくれるんです。一人で「イケる」って思うだけじゃ不安があるんですけど、RYOWさんみたいな人に背中を押されたら、自信になる。あと、俺が一方的に相談に乗ってもらうこともあります。
―コーチとかメンターとか、そういった存在に近い?
¥ELLOW BUCKS:本当、そうですね。
―RYOWさんの立場から見て、BUCKSさんのような次世代ラッパーの登場を待ちわびていた感じはありますか?「いよいよ、こんなヤツが来たのか!」みたいな。
DJ RYOW:こういうタイミングで、こんなことがあるんだって思ったね。俺らが走ってる時代より二廻りくらい時代が巡って、なかには報われなかった子もいる。そんな時に、ちょうどBUCKSが出てきてうまい感じにぎゅっとまとまった感じがあるな。
―名古屋のシーンにはTOKONA-XさんからAK-69さんまで名だたる先輩らがいますけど、BUCKSさんには、地元の先輩の背中はどのように映っていましたか?
¥ELLOW BUCKS:もう、ずーっと憧れでしたね、本当に。「ヤングトウカイテイオー」のリリックの通り、ずっと東海のシーンを聴いてきましたから。
ー最初、”ヤングトウカイテイオー“と名乗ることにビビる気持ちはありませんでしたか?
¥ELLOW BUCKS:多少はありましたよ。名古屋はやっぱり怖いんで。でも別に、「だから何?言ったもん勝ちだろ」って思いもあった。俺は絶対にやり切るタイプなんで。
DJ RYOW:最初、「ヤングトウカイテイオー」を聴いた時は「おお、スゲえな」って。やっぱり、”トウカイテイオー”ってフレーズはBallersが本家みたいなところがあるから(註:元々、2004年にTOKONA-Xがアルバム『トウカイxテイオー』をリリース。また、TOKONA-Xはラップ・グループのM.O.S.A.Dに所属し、さらにM.O.S.A.Dのメンバーらが率いたクルーがBallersであり、DJ RYOWもその一員である)。でも、これだけ時代が回った今、”トウカイテイオー”ってワードを引っ掛ける子が出てきたことに対して、ストレートに「面白えじゃん」って思ったね。名古屋っぽいって言うか、「新しい世代が出てきた」って分かりやすく繋がってるし。
¥ELLOW BUCKS:NYとかLAにも、そういう地元を継ぐ若手がいるじゃないですか。東海地方にも昔からヒップホップの歴史があって、俺はそこが地元なんで、それを自分で体現したいって思いがあった。それに、DJ RYOWさんたちは、俺がそう名乗ることを絶対に理解してくれるって思ってましたもん。俺も、継がなきゃいけないものは継がなきゃいけないという気持ちでやっています。
DJ RYOW:東海地方はみんな地元意識も強くて、我が強い人も多い。でもある意味、ヒップホップの形が遠いところで上手くまとまってるという感じもある。
¥ELLOW BUCKS:RYOWさんの話を聞いてると、すごい話ばっかり出てきますもんね。めちゃくちゃヒップホップだなって思ったのは、昔、東京からきたアーティストがライブをしている時に、トコナメさんがいきなり「俺、入るから」って言って、RYOWさんが元々いたバックDJの人を押しのけて、バーンって曲を掛けたって話。最後はピースに終わったらしいんですけど、すげえかっこいいなって。東海のヒップホップで映画作れますよね。M.O.S.A.D.の映画、作ってくださいよ。
DJ RYOW:作りたいね(笑)