ゴン中山ばりの泥臭いフィニッシュに「よく突っ込んだ!」とネットから称賛の声が上がっている。
いつの時代も、どんなスポーツでも気持ちがこもったプレーは人の心を惹きつけるものだ。例えばゴンこと中山雅史も、常に全力で、泥臭くも魂のこもったプレーによって観客を魅了してきた。
そんなゴン中山のような魂のゴールで注目を集めている選手が、フットサルの日本最高峰『Fリーグ』にいる。シュライカー大阪の点取屋で日本代表候補の堀内迪弥だ。
■拮抗した試合の均衡を破るゴール
開幕からリモートマッチが続いていたFリーグだが、11月から有観客試合を開始。その最初の試合で大阪は、敵地に乗り込みエスポラーダ北海道と対戦した。
久々にファンやサポーターの前でのプレーということもあり、生き生きとした顔を見せる選手たち。手拍子に呼応するように、お互いが好パフォーマンスを見せる均衡した試合展開となった。するとスコアレスで迎えた第2ピリオド(後半)10分に動きを見せる。
大阪が自陣左サイドのキックインで試合をリスタートすると、そのままボールを逆サイドに展開し、ボールを持った選手がスピードを生かした縦突破を図る。そこから、シュート性の鋭く低いゴロのパスをゴール前に入れてファーサイドで合わせる、フットサル特有の『ファー詰め』を狙った。
味方の縦への突破に合わせて、ゴール前ですでにポジショニングをとっていた堀内。しかし、味方のクロスボールは、ゴロのボールではなくやや浮いてしまったことで足で押し込むのは難しい状況に。次の瞬間、堀内は躊躇うことなくぐっと屈んで狙いを定め、体ごとボールに飛び込み、なんとか肩に当てて押し込んだのだ。
ゴールポストにぶつかりながらもボールを押し込んだ堀内の熱いプレーに試合を放送したABEMAの視聴者からは「よく突っ込んだ!」、「体で押し込んだー!」と称賛の声が上がった。この試合で解説を務めた元日本代表の横江怜氏も「突破した場面も素晴らしいですが、あそこでしっかりファーポストで待ち構えて、ボールを面で捉える。素晴らしいプレーでした」と堀内の泥臭いプレーに賛辞を送っている。
堀内はピヴォ(サッカーで言うFW)として、ポストプレーからのチャンスメイクやフィジカルを生かした反転からのシュートなどいろいろな攻撃のバリエーションを持っている。
しかし一番の武器は、今回のゴールのような泥臭さ。恐怖心すら感じず、味方のために体を投げ出してでも貪欲にゴールを奪う気持ちのこもった堀内のプレーは、見ているものの心をスカッとしてくれる気持ちの良いものだ。そんな彼の魂のこもったプレーを一度見ていただきたい。
文・川嶋正隆(SAL編集部)
写真/高橋学