Twitter Japanは11日、新たな投稿機能を導入した。その名もツイートではなく「フリート」。
正式な導入は日本が初めてとなるこの機能。最大の違いは、投稿が「時限式」という点だ。テキストや写真など、投稿したものが24時間で消えるという。
この新機能が導入されるや、トレンド入りするなど大きな話題となった。なぜ、今回この新機能を導入したのか。『ABEMAヒルズ』はTwitter Japanを取材した。
「ツイート自体があまりにも公共にオープンな上に、消されることなくずっとそこに残り続けるものであるため、中にはツイートをすることに躊躇してしまったりして、“リツイート”や“いいね”を獲得しようと、そういうようなプレッシャーを感じられる方が多いという声が私たちに寄せられている。“ツイートするかしないか”という微妙なライン、思いつきというものを共有する場がないかなという風に模索して、その結果このような新機能のフリートというものを実装する要因になった」(Twitter Japan広報担当者)
背景には、ユーザーが“気軽なツイート”をしにくくなっている現状があるという。
「日本の利用者の方で、日常を簡単にツイートしてフォロワーのタイムラインを乱したくないとか、フォロワーが読みたがっていることを発信しなければならないなど、『お風呂今入ってます』とか『○○なう』みたいな日常のふとしたことをツイートしにくくなってるという分析がある」(同)
一方で、フリート機能にネット上では「足跡機能いらない…こっそり見てるのがバレるじゃん」と使いづらさを指摘する声も。世界で初めて日本に正式導入されたフリート。Twitter Japanは、日本ユーザーのフィードバックが今後の改善の鍵だという。
「日本での使われ方がすごく独特で、大喜利が起きていたりとか、“こんなことで盛り上がるのか”というのがある。そういった意味で日本の利用者がお手本となって、それをアメリカにいる開発チームの者が参考にして今後のアップデートなどに役立てさせていただきたいので、皆さんがこの先どう使ってくださるかが私たちが注目していること」
気軽なツイートがしづらくなった要因として、元IT起業家で作家の関口舞氏は「1億総公式カウント時代になったこと」との見方を示す。
「普通の一般の人が、あたかも企業の公式アカウントかのように公式見解を言うような風潮になっている。何を書いても自分の紹介につながってしまったり、ニックネームだとしても実社会のつながりで使っている人も増えていて、いいねやリツイートが少ないとスベった感じがするから(投稿を)消してしまうという声もあったりする。自分の広報活動のような、仕事みたいになってしまっている」
さらに、過去の発信がネットに残り続けてしまう「デジタルタトゥー」の問題もあげる。
「今回の大統領選においても、Twitterの整合性責任者であるヨエル・ロスさんという方が、過去にトランプ大統領に対して『ホワイトハウスのナチだ』とツイートしていたことが今になって発見されて、そういう人が大統領選のTwitter周りをやっているのはどうなのかと話題になってしまった。下手したら世界的に話題になってしまう場所に何かを書くのは勇気がいる行為になってきている」
“消えるSNS”の効果について、ITジャーナリストの鈴木朋子氏は、「Instagramのストーリーズと同じように24時間消える機能があるが、これが非常に好評で、国内のアクティブユーザーの70%が使っている。これは、“インスタ映え”みたいにキラキラした投稿という場所だったところとはまた別に、なんでもないような気軽な日常を投稿できるのが人気の理由だった。LINEなんかも実装しているが、これをTwitterも実装して、ユーザー同士のコミュニケーションを図って、いいねやリツイート数にとらわれないような交流を狙ったのかなと思っている」と、一定の結果を出していると説明する。
フリート機能によってTwitterはつぶやきやすい場所に戻っていくのか。関口氏は「フリートによって昔の気軽なTwitterが戻ってくればいいと思うが、一方で心配なのは『なぜフリートではなくツイートなんだろう』となること。今度はツイートするのにより勇気が必要になることもありうると考えると難しい」と懸念を示した。
(ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)
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