実況もドン引き、フィリピンの“壊し屋”の関節技 「脱出→大逆転」劇に驚きと称賛の声
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 フィリピンの"壊し屋”のアームロックで腕を極められ、関節が曲がってはいけない方向に90度。実況も視聴者も「ストップ」「やめて」と思わず引いたタップ寸前の危機的状況を耐え抜き、奇跡の脱出。さらに逆転勝利まで収めた選手に「根性あるなあ」「関節柔らかすぎ」など驚きと称賛の声が寄せられている。

【映像】“壊し屋”の関節技

 11月13日に配信されたONE Championshipのシンガポール大会「ONE:INSIDE THE MATRIX III」で、修斗ストロー級王者の箕輪ひろばがONEに初参戦。リト・アディワン(フィリピン)に2-1のスプリット判定ながら勝利を収めた。

 修斗においてKOや一本で勝ちを重ねてきた箕輪のONEデビュー戦の相手となったのは、フィリピンの名門チーム・ラカイで最も危険なファイターとして売出し中のアディワン。フルスイングの打撃と、相手の腕を破壊する腕固めで知られている。

 最も衝撃的だったのは仙三との日本大会での対戦だろう。執拗な腕攻めで仙三の腕が外れ、あらぬ方向にぶら下がるシーンは衝撃的だった。さらに今年に入り、ポンシリ・ミートサティート(タイ)の腕をキムラロックで極め、この試合でも1本勝ち。“アディワンの腕地獄”は代名詞だ。

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 1ラウンド、箕輪がケージを背にするアディワンの速い左右のパンチに対し、低くシングルレッグからテイクダウンに成功するが、これが“腕地獄”への入り口だった。下になったアディワンが、箕輪の左腕をガッチリつかみ強引にキムラロック。箕輪も逃れようと前に転がるが、ケージ際で完全に極められ動けない状況に。視聴者からは「もうダメだ…」「極まった」と早くも絶望的なコメントが並ぶ。

 2度目の前傾姿勢でのトライでも腕地獄は外れず、箕輪の腕は“ほぼ90度”あらぬ角度に曲がったまま。これまでの悪夢の試合が脳裏をよぎったか、ABEMAのコメント欄も「痛い痛い」「ストップ」「やめて」「選手の腕が…」の大合唱。しかし、ここで箕輪が体を入れ替えるようにトップを取り、奇跡的に脱出に成功。腕のダメージが心配される場面だが、その後、箕輪はトップをとるとアディワンに鉄槌を振るって逆転攻勢。このラウンドを終えた。

 2ラウンドに入ると、奇跡の脱出を果たした箕輪が試合の主導権を握りはじめる。アディワンのスピンキック後にすかさずテイクダウンすると、さらに上からパウンド。アディワンも1ラウンドと同じく腕を取るが、今度は箕輪が取らせずにトップをキープし、パウンドを連打。後半にはノースサウスからヒザを叩き込んだ。

 3ラウンド、軽快なサークリングでスタミナに余裕を感じさせる箕輪に対して、アディワンの足取りは重い。箕輪のテイクダウンに全く反応できず、あっさりトップをとられコツコツとパウンドを貰う防戦一方状態に。対する箕輪は堅実にヒジや肩パンチ、上から振り落とす鉄槌を織り交ぜてアディワンを攻め続け、優勢のまま試合を終えた。

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 判定は2ラウンド以降、試合をコントロールした箕輪が2-1の判定勝利。それでも1度ニアフィニッシュまで持ち込んだアディワンを1人のジャッジが支持し、意見が割れたのもONE判定の難しさを表していた。

 試合後、箕輪が逆方向に曲がった腕固めを耐え抜いたシーンについて、実況を務めた西達彦アナウンサーが「引くくらいの感じでしたよね…」と振り返ると、ゲスト解説の松嶋こよみは「無理ですね。(観ていた)僕がタップしたかったです…」と思わず本音を漏らした。さらに解説の大沢ケンジは「僕は(痛そうで)見てなかったです。関節技は痛くなったら壊れてる。自分が壊れるか、どこまで耐えてタップするかなんですけど。あそこまで我慢するとは…」と箕輪の我慢強さに驚いた様子だった。

 「関節柔らかすぎ」などの声も聞かれたが、試合後に箕輪は「初回ラウンドはキツかったですね(笑)。肩が2回鳴って、3回タップしようかと思った。普段から自ら負けを認める行為(タップ)をしないように教わっているので、ここでタップしたら代表に怒られるんだろうなと思った」などと話し、絶望的な状況を脱した際の心境を明かした。

(C)ONE Championship

【映像】フィリピン“壊し屋”の腕地獄
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